国語の授業

俺は何を読まされてるんだ?


国語の先生は、田中昇を見つめながら言った。

「辞めろと言ってないぞ。それに時間が無くなるぞ」

少し楽しそうに、そして反応を見るかのように。


「教室にいる仲間外れを探せ。仲間はずれの鬼を見つけなければ、2週間事にクラスメイトから脱落者が出るだろ…

赤羽静さん。楽曲作成は順調かな。伊藤太さん。容姿を変えようとも、見ている者はいるよ。伊藤針さん。裁縫は楽しいかな…」

名前を呼ぶたびに、向けられる視線。


「はぁ!本当にそんなことが表示されてんのかよ」

伊藤針が叫びながらランニングマシーンを降りようとした。


ヒュッ。バチン。


伊藤針の顔の寸前をムチがかすめ、伊藤針の足元寸前を狙うようにムチが動いた。


「授業中だ」

国語の先生が伊藤針を睨むが、伊藤針も負けずに睨み返していた。


「5分だ。読み終えてないが、田中昇感想を述べよ」

国語の先生の視線が田中昇に移る。


感想を述べよと言われても、先ほどより思考は鮮明なはずなのに、何も言葉が出てこない。

「これは誰の作品ですか?」

なんとか声を絞りだす。

感想では無い言葉が出る。

「鬼って?脱落者…」


国語の先生から深い溜め息が出る。

「それは感想では無いぞ。先が危ぶまれるな…」


この異質な空気をものともせず、変える者が居た。

路地陽平が手を挙げていた。

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