宣告

2024年4月2日 午前8時55分


また、教室が騒がしくなる。


しかし、タブレットから五分で更衣室に向かいましょうと、煩いほどの音が流れ、地図が表示されていた。

教室のすぐ隣がトレーニングルームで、教室側に男子更衣室、トレーニングルームを挟んで奥側に女子更衣室と表示されていた。


ムチの衝撃も、国語の先生の言葉を理解する暇もなく、皆んなは移動していく。


トレーニングルームには30台のランニングマシーンが並んでいる。

ランニングマシーンの近くに800mlの水らしき物と、ウィダーインゼリーが置かれていた。


「朝から体育の授業でも始まんのかよ?」

真後ろで、不機嫌そうな顔をした玉利朝日が言った。


「邪魔だ。さっさと好きなランニングマシーンに乗れ」

更に真後ろに、いつの間にか国語の先生が立っていた。


「うさぎー。体力には自信が無いのになゃ」

ゆっくりとだるそうに歩く、江頭うさぎ。

「まぁまぁ。一緒にがーんばろ」

岡田河南が、江頭うさぎの背中を押しながら近くのランニングマシーンに乗せた。

それぞれも、だるそうに動いていた。


ヒュッ。バチン


と、ムチが空を裂き、床を叩く。


その音に、数人以外がびっくりし、空いているランニングマシーンに素早く乗った。


「時間は有限。国語の授業は90分。25分事に5分の休憩を入れる。朝ご飯を食べていない者は今すぐにウィダーインゼリーを飲め。タブレットは前に置け。質問は許さない」

生徒1人1人を厳しい目つきで睨み、国語の先生が言う。


昇は蛇に睨まれた蛙の様に、国語の先生から目が話せなかった。


「丁度良い。田中昇。タブレットに表示された文章を4分以上5分以内で読め。そして800文字程度の感想を3分以内に述べよ」

急に言われ、思考回路が追いつかない。

タブレットには5秒後にランニングマシーン始動と、表示されていた。


ランニングマシーンが始動とともに、タブレットに文章が表示される。


「己の過去を顧みよ。世界に告白しよ。そして、律しよ。でなければ、鬼に殺されても文句は無い。殺されたくなければ…」

ゆっくりと歩いて文章を読み上げているうち、頭に血流が巡ったようだ。



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