忠告

2024年4月2日 午前8時48分


「はよっす」

和田司が昇の後ろを通る時に、誰に向けてでもなく挨拶をした。

その後ろから栗田達も現れて、明るい声で挨拶をしてくる。

「おはよー。2日目、宜しく」


2人が席に座る頃には、黒板の上にある時計が50分を指していた。

それと同時に、国語の先生が不機嫌な顔で入って来た。

「やってくれるねー」

昨日と同じ黒のフォーマルなパンツスタイルに身を包み、8センチ程はあるピンヒール姿に、手には何か持っていた。

「早速、カリキュラムを無視する者が18人もいるとは」

睨みながら生徒達を眺める。


「21時から寝る用意をしろって言われても、無理がありますよ。人それぞれ生活パターンがあるのですから」

発言したのは路地陽平だった。


「へぇー。その生活は今しか出来ない事なのかな」

含みのある言い方だった。

「この学校のルールを言え。路地」

路地は無言だった。

すると、国語の先生は持っていた物で床を激しく打ちつけた。

バチンと激しい音が教室を包む。

「え!」

「きゃっ」

と、前列の女子から悲鳴が上がった。

「革製の上等なムチ」

発言したのは、伊藤太だった。


「今後、タブレットからの指示は守れ。でないと卒業は危ういぞ。では、隣のトレーニングルームに移動しろ。更衣室で着替えるのを忘れるな」

それだけ言うと、国語の先生は教室を後にした。

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