ざわつく朝
2024年4月2日 午前8時30分頃
昇が教室に入ると、耳鳴りの事、タブレットからの音声の事、クラス座席表アイコンの事で騒がしかった。
「よーへい。昨日、寝た?」
「あんな時間に寝れるわけないじゃないか」
「陽平君って、夜更かしなの?」
路地陽平と、玉利朝日の周りには、3人の女子が群がっていた。
「急に音が鳴るとか止めてって感じなんだけど」
「話してる途中で、携帯も使えなくなるしびっくりしちゃったよね」
昇の席の前で、岡崎マリと曽根美奈が話している。
「2人は携帯使えたの?」
昇は、思わず質問していた。
自分の携帯は、画面が光るだけで、それ以上の事は出来なかったはずと記憶しているからだ。
「え?支給された携帯に美奈の番号だけあったから、耳鳴りの件で電話したけど…」
「私も。家に帰った時にマリちゃんから電話があってタブレットから音が出るまで話してた」
唐突に質問され、少し不快な顔をしながらも、2人は答えてくれた。
「唐突にごめん。有難う」
2人の表情を見て、昇は謝った。
そして、支給された携帯を見ると、電話帳には30と数字が出ていた。
学校では、誰にでも連絡出来るのか?
携帯を使ってみたいが、かける相手がいない。
クラスを見渡すと、いつの間にか大なり小なりグループが出来つつあるのが分かった。
昇は、まずいと思った。
学生生活は最初が大事なのに、このままでは友達作りに失敗し、孤立してしまう自分の姿を想像してしまったからだ。
タブレットを取り出し、クラス座席表アイコンをタッチする。
昨日は、曽根美奈しか見られなかったので、とりあえず右の席栗田通(クリタトオル)をタッチした。
栗田通(クリタトオル)
15歳。
品田中学卒業。
得意科目、体育。苦手科目、数学。
趣味、HIPHOPダンス。
まだ来ていない右の座席を見ながら、何も繋がりが無いと昇は焦る。
じゃぁ、左はと和田司(ワダツカサ)をタッチした。
和田司(ワダツカサ)
16歳。
品田中学卒業。
得意科目、体育。苦手科目、社会。
趣味、HIPHOPダンス。
繋がりは見つからなかった。
むしろ、品田中学出身、体育好きで趣味がHIPHOPダンスという3人に囲まれている現状を知り、不安が募った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます