タブレット

昇は早速、クラス座席表のアイコンをタッチした。

30人全員の配置と名前が表示される。

とりあえず、前に座ってる女子の名前をタッチする。


曽根美奈(ソネミナ)

15歳。

品田中学卒業。

得意科目、体育。苦手科目、国語。

趣味、HIPHOPダンス。


中学でも行ったであろう、簡単な自己紹介が表示されていた。


「みーなちゃん。私、岡崎マリ。ダンスするんだったら友達なれそーって思って声かけてみたんだ。ジャンルは違うけどさ」

ピンク、水色、パープルと、発色の良い髪を、鎖骨まて伸ばした女子が、すぐ目の前に表れた。


「そうなのー。友達出来るか不安だったから嬉しい。何系のダンスするの?」

前髪少なめの黒髪ボブが似合っている、曽根さんが返事をしていた。


昇は、こうやって使うのかと、2人を見て関心していた。

それと同時に自分の事は何と書かれているか気になった。

気になったのは、事前にアンケートなどは無かったはずだからである。


興味と緊張を交えた気持ちで、自分の名前をタッチする。


田中昇(タナカノボル)

15歳。

浅田中学出身。

得意科目、無し。苦手科目、無し。

趣味、FPSゲーム


具体的だった。

確かに、得意科目と聞かれても分からなかったし、苦手科目も分からなかった。

成績表も、ずっと真ん中ばかりだった。

ただFPSゲームは、数ヶ月前から珍しく夢中になり、1日のほとんどを費やして遊んでた。


この事は、家族は知らない。

FPSゲーム仲間の数人しか知らない事だった様に昇は思った。


他の人の情報も気になったが、突然タブレット画面が真っ暗になる。


本日、入学された一年生は、下校時刻です。

速やかに帰りましょう。


教室に響くアナウンス。

電源が切れた様に、反応しなくなったタブレット。

支給された携帯も、自分が持ってきた携帯も画面が真っ黒だった。


次に、突然耳鳴りがし始めた。


「何、これ?」

「耳が痛い」


ざわめく教室。

耳鳴りは徐々に酷くなっているように感じ、教室に残っていた生徒達は、逃げるように帰り始めた。




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