第44話 ハロルドに相談
「……って感じで、魔王のコアを冒険者とかしながら探そうと思うの」
レッティはフェンリーとニクスにも報告する。
「ならば、先日の蟻ジゴクの時、他のニンゲン達にコアのカケラを持って行かれたのは痛手だったな」
「うーん……でも、騎士団から奪う訳にもいかないからね」
「でも、僕らの手柄なんだから今からでも返してくれてもいいよね?奪いに行く?」
ニクスは無邪気にとんでもない提案をするから油断出来ない。
騎士団相手に戦闘を仕掛ける様を想像してワクワクしてるのか、金色の目がキラキラしている。
「ダメ。敵対したく無いの」
「騎士の中に相談できそうなニンゲンは居ないのか?」
フェンリーの言葉に、話が通じそうな……しかし、本当に頼り甲斐があるか不明の軽薄な顔が浮かんだ。
「相談か……してみようかな」
敵対する事にならなければイイけど……。
「お久しぶりじゃん!スカーレットちゃん!……ミスティカちゃんって呼んだ方が良い?」
「しーっ!声大きいです!」
早速ハロルドが一人でいるタイミングを図って近づいてみた。
ニクスがいるので、匂いで何処にいるかすぐに分かるのが便利。
「ごっめーんね!で、そちらの神獣の白狼君も今日は連れて来たのね」
「わふ!」
スカーレット・ロイドと冒険者ミスティカが同一人物と知っているので、彼なら色々話が通りやすいのでは無いかとみたのだ。
レッティの秘密を守るのにも協力的だし、更なる協力を求めたい。
「飲み物持ってくるよ。待ってて」
「あ、いえ。お構いなく。それよりも他の人に見つかる前に相談したくて……アルフレッド様の悩みについてはご存知ですよね?」
ハロルドを止めて、レッティは本題を早速話し出した。
「あー、うん。呪いについて知ってるんだ?婚約者にも内緒って言ってたのに」
ハロルドは意外だったのか目を丸くした。
「ミスティカの方だけ聞きました。スカーレットは知らない事になってます」
「あー……あはは!何それ面白い状況だねぇ!」
ハロルドは腹を抱えて笑い出した。
レッティとしては、アルフレッドの命に関わる事なので、笑ってられる状況じゃ無い。
そして、レッティはハロルドに呪いと、魔王のコアについて説明した。
「なーるほどね。だとすると君は残念ながら騎士にはならない方が良いかもね。
大変残念だけど。
騎士になっちゃったら、コアのカケラを個人的に寄越せなんて話は流石に無理」
「そうですか……」
ちょっと残念だが仕方がない。
「コアのカケラが関わる案件なら、冒険者ギルドの方にも依頼が来る事も多いよ。
そこで活躍したら取り分を主張してくれれば、俺が居れば間取り持って全部は無理でも、コアのカケラを山分けにする事も……出来るかな?
まあ、かわいこちゃんの頼みだし、生意気可愛い部下の命が掛かっている事だからなんとかするよ」
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
協力を得られそうでレッティはひと安心した。
「でも、団長の方にも話した方が良いかも。
イゴールは昔から知ってるけど、秘密は守れる男だよ。
真面目は真面目だけど、話が通じない融通効かない様な奴じゃない。
頼れそうな人には積極的に協力を求めるべきだね。
良ければ俺から話をしておくけど?」
「そう……ですね。
団長さんも協力してくれるなら有難いです」
「よし!決まりだ!アルフレッドには会っていく?」
「……いえ、今日はもう帰ります」
ちょっと迷ったが、副団長と何を話していたか勘繰られたくない。
「じゃあね、ミスティカちゃん!頑張れ〜」
「はい!ではまた!」
ニクスの背に乗って急ぎ帰る。
『僕も頑張るから、頑張ったら褒めてね』
「ふふふ……勿論!ニクスも頑張ろうね」
そうして、なるべく強そうな魔物と戦えそうな依頼を積極的な受ける様にし、レッティ達は気が付けば、冒険者としてはベテランとして扱われるブロンズクラスになっていた。
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