第40話
手を離して頭を抱えたユウジのスキを見て、私はアパートを飛び出して裏の河原で泣き崩れた。
(二股なんかした罰だ・・・)
真っ暗な土手で、時間も忘れて泣き続けていた。
どのくらいこうしていただろう・・・
ポケットに入っていた、携帯の振動で我に返った。
(・・・ユミからだ・・・)
「アカリ?何かあった?」
心配そうなユミの声。
「え?どうして・・・?」
「ユウジがね『アカリ知らないか?』って電話してきて。なんか様子が変だったから・・・」
「・・・」
「アカリ?大丈夫?」
「・・・ユミ・・・」
(何て言えばいいんだろう・・・)
「今ね、私、彼氏と大学の近くにいるんだけど。アカリどこにいるの?」
「・・・裏の河原・・・」
「えっ!?大学の裏の・・・っ!?真っ暗じゃない!待ってて、すぐ行く!」
飛んできたユミは、河原で私を見つけると、黙って彼氏の車に乗せてくれた。
真冬なのに、コートも着てない私・・・
言わなくても・・・ユミにはきっと想像ついちゃうんだろうね・・・
ユミは黙ったまま、自分のハンカチを私の頬に当てた。
ユウジの爪が食い込んでた頬は、ユミのハンカチに赤いシミをつけてしまう。
「ごめん・・・汚しちゃった・・・」
「いいよ、そんなの」
そう言うとユミは、泣きそうな顔で、私の唇と首もハンカチで拭いてくれる。
そうか・・・唇はきっと、平手打ちで切れたんだ・・・
首は、噛み付くように押さえられてた時・・・
ユミと私の様子を、心配そうに運転席から振り返ってる彼氏に気がついて、あわてて二人に謝った。
「ごめんね、せっかくクリスマスなのに・・・デート中だったんでしょ?」
「何言ってんの・・・。そんなこといい」
ユミが悲しそうに、私を抱きしめた。
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