第38話

クリスマス。


約束どおり、私はユウジのアパートへ行った。






それなのに、ユウジの部屋には、クリスマスの用意なんか何もしてなかった。







あったのは、散乱した私の荷物と、疲れ果てた異常なほどのユウジの姿・・・。







(・・・バレた・・・!)







一瞬、足がすくんだけど・・・







(・・・来るべき時がきたんだ・・・)







どうせもう、時間の問題だったんだもん。







覚悟を決めて、私はユウジのそばに座った。







「・・・ユウジ、ごめん・・・」







「何がっ!?」







「・・・わかってるんでしょ・・・」







「あれ、誰だよ!?」







「えっ?」







「昨日来てたヤツ・・・お前、家族で過ごすって言ったよなぁっっ!?」







「・・・まさか・・・ウチ、来たの・・・?」







「会いたくなったんだよっ!俺が行ったら、なんか都合悪いかっ!?」







(・・・しゅんくん、見られたんだ・・・)







背筋がゾッとした。







しゅんくんの存在を知って、おとなしく帰ってくるようなユウジじゃないのに・・・







その場で直接しゅんくんに手を出さなかったのは・・・どうして?







・・・何を考えているの・・・?







昨日・・・ここで一晩・・・何を考えていたの・・・?







嫌な想像ばかりが頭に浮かぶ。







私がしっかりしないと。

どんな事してでも、今日で終わりにしないと。







ユウジ、しゅんくんに何するか・・・







「なぁっっ!?アカリは俺の彼女だよなっ!?」







「・・・」


答えない私の顔をつかんで、ユウジがグッと自分の方に引っ張る。







「なんですぐ答えねぇんだよっっ!」







「・・・いたいっ・・・やめて・・・」







「ちゃんと言えよっ!お前は俺の彼女なんだって!!」







「・・・」







それでも答えない私に、ユウジの力が強くなる。







ホッペに食い込むユウジの爪が痛い・・・

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