第37話

まずは、ユウジとの半同棲中、アパートにため込んだ荷物を、少しずつ持ち出し始める。







気づかれないよう、少しずつ、少しずつ・・・







気づいたら、ユウジはどうなっちゃうだろう?







私に対する、異常なまでの執着心。







・・・絶対・・・普通には別れられない・・・







私は『その時』・・・何をされるのだろう・・・?







着々と準備を進めながらも、恐怖心から、なかなか『その時』を迎えられずに、二股状態を続けていた・・・。








クリスマスイブ。







ユウジには、『家族と過ごす』と言ったけど、本当はしゅんくんが来ていた。







今はもう、一緒にいられるだけで嬉しくて。







遠慮がちにつないでくるしゅんくんの手を、私はギュって握り返した。







(・・・ごめんね・・・もう少し待ってて・・・)


心の中で、そうつぶやきながら。







まだ、ユウジと別れられていないから。







明日は、ユウジと会う約束になってるから。







しゅんくんと、どんなに一緒にいても。

手をつないでても。







肩書きは、『友達』







私は、『ユウジの彼女』なんだ・・・







だから『もっと一緒にいて』って・・・抱きつくことはできない。







「・・・じゃ、またな・・・」



私の髪をなでてから、寂しそうに帰って行くしゅんくんに、もう一度、心の中で謝った。







(・・・ごめんね・・・)







今はまだ、しゅんくんへの気持ちを言葉にする事はできないよ・・・。







でも・・・私も、しゅんくんと同じ気持ちなんだよ・・・?







(もっと一緒に・・・本当は明日も一緒にいたいのに・・・)







そう思いながらも、ユウジの前では彼女の顔して、愛してるフリを続けている私は・・・大嘘つきだ・・・。

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