『その時』

第35話

大学のすぐ近くで一人暮らしのユウジ。







学校が終わると私はそのままユウジのアパートへ直行、が日課だった。







強引なユウジに引き留められ、週末くらいしか家に帰らないような、半同棲生活・・・







(学生のくせに・・・ね)







よくないと思いながらも、ユウジに切り出す勇気がないまま、ズルズルと3年目を過ごしていた。







それでも最近は、ユウジが就活に忙しくなって、会う回数が減ってはいたのだけど・・・







母の、フラワーアレンジメント教室で、事務をやろうと思ってる私は、就活には無縁で。







単位も足りそうだし、学校へ行くことも少なくなっていて。







それをいいことに、私はしゅんくんと会いまくっていた。








『彼氏いるから言わないでおこうと思ってたけど。でも、それじゃ、困った時でもアカリ、頼ってくれなそうだから。』って言うしゅんくんの言葉は・・・







・・・そのとおりだと思う。








親友のユミにさえ、ずっと言わなかった私だから・・・


友達のしゅんくんには、もっと言わないと思う。








それを予測して、しゅんくんは・・・



「好きだから。俺にとっては、ただの友達じゃないから。だから、困ったことがあったら、いつでも言って」と。








・・・遠いのに・・・


休みになると、高速を飛ばしてわざわざ会いに来てくれる。







アカリに迷惑ならやめるけど・・・俺が会いたいからって。







「休み中、『アカリどうしてるかな?』って考えてるくらいなら、来ちゃったほうがいい」って。








「迷惑じゃないよ、全然。ありがとう。」って笑った私を見て。








「いつでも来るよ。だから、いくらでも頼れ」って、力強くいったしゅんくんの目を見ながら。







(このまま、一緒にいられたらいいのに・・・)


(ユウジじゃなく、しゅんくんがいてくれたらいいのに・・・)







心の中で、そうつぶやいていた。






しゅんくんといると安心するから。

すごく、居心地がいいから。






しゅんくんが笑ってくれると嬉しくて。


『2番手でいい』って言ったしゅんくんが、会うたびに私の中で大きくなっていくのがわかる・・・。

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