第29話

「本当に毎日会ってんだ?すげぇな・・・」







「・・・土日くらいしか、家帰ってないんだよ、私・・・」







「えぇっ!?毎日泊まり!?」







「・・・帰んないで!って強く言われると・・・それでも帰る!とは、言えなくて・・・」







「まぁ、なぁ・・・。そこがアカリのいいトコなんだけど・・・」







嬉しかった。

情けない、頼りない、一人じゃ何もできない・・・って、ずーっと自分を否定してきたから。







「家にも帰れないんじゃ、バイトなんてとんでもないね。」







「自分はすっごいバイトしてるんだよ?学校そこそこに、ひたすらバイトしてて・・・。ハイ、って渡されても、そんなの使えないよ・・・」







「そうだよね。彼氏が頑張ったものだもんね。」







「・・・でもいつか、本当にこうなるんだからいいんだ、って言うの・・・」







「・・・結婚、って事?」







「すぐにでもしたいんだって・・・」







「アカリは?嬉しくないの?」







「う~ん・・・なんか・・・絶対離してくれなそうで・・・」







「ふぅ~ん・・・?

『離したくない』って言われたら、普通、嬉しいんじゃないの?」







「・・・そうなのかな・・・」


しゅんくんの言葉を、理解できない自分がいた。


ユウジの『離したくない』は、怖いだけだもん・・・







「女の子にとって彼氏ってさ、一緒にいて安心する存在なんじゃないの?守られてる安心感とか、愛されてる安心感とか・・・そういう気持ちにしてあげたくて、男は頑張るんだと思うけど・・・」







「しゅんくんも・・・?」







「そりゃそうだよ。俺といて、安心した顔してくれたら、めちゃめちゃかわいいと思うもん。守ってあげたいって、もっともっと安心させてあげよう!って頑張る力になる。」







「うわ~、いいなぁ~。しゅんくんの彼女サンは、幸せだね」






本当にそう思った。

優しくて、寛大で。

でも頼もしい強さもあって。







「お?いない俺に、イヤミか??」

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