第22話
「でも私、周りにヘンって言われるよ。」
「え~、なんで??」
「一年中、海、見に行ってるから。冬なんて、震えながら見てるし」
「あぁ~、それは俺も言われる。
『一人で海見てるなんて可哀想~』とかね。
・・・あ、っと、アカリは彼氏いるんだったよね?ユミちゃんに聞いた。」
「うん・・・」
「そっか、いいなぁ。・・・今日は?彼氏、大丈夫?」
「えっ・・・」
ユウジの顔が浮かんだ・・・
「他の男と遊ぶなー!!とか、ヤキモチやかないんだ?」
からかうように笑ったしゅんくんを見て。
ふわっと一瞬、めまいがした。
こんな楽しくおしゃべりしてることを・・・ユウジが知ったらどうなる・・・?
・・・ヤキモチやくなんてどころじゃない・・・。
狂ったように怒ってる、ユウジの顔が浮かぶ・・・
厳しい目つき。
私を離さない腕。
モノに当たり散らして怒鳴る声が・・・消えない・・・
しゅんくんに返事なんかできなくて、私の全身を、どんどん恐怖心が襲っていく。
どうしよう・・・私・・・とんでもない事してるんじゃ・・・
「アカリ?ねぇ、アカリ・・・大丈夫?」
しゅんくんが呼んでたけど、私はもう、返事もできないくらいになっていた。
・・・どうしよう、バレたら・・・
私・・・何されるだろう・・・?
恐怖に体が震えて、呼吸が速くなっていくのがわかる。
「・・・ふぅっ・・・はぁぁ・・・」
なぜか、うまく息ができなくて苦しい。
「おいっ、アカリ・・・っっ・・・」
心配そうに私の顔を覗き込んだしゅんくんに、
「苦し・・・」
それだけ言うのがやっとで、気がついた時にはスキー場の救護室にいた。
遠くでしゅんくんの声と、何となく、ふわふわした感覚が残ってる。
ゆっくり目をあけると、
「アカリ・・・大丈夫・・・っ!?」
しゅんくんの、心配そうな顔が見えた。
「・・・しゅんくん・・・」
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