第9話

「そうなんだって。帰りも危なっかしいなぁ、って心配で、なるべく走りやすい道を考えた、って。」







「そっかぁ~。ナビどおりだったら、知らない道だったよね」







「そうなんだよね。私は地元じゃないから、ナビどおりにしか行けないけど・・・しゅんくんは、いろんな道を知ってて」







(しゅんくん、しゅんくん、って・・・)







そう突っ込みたい気持ちを抑えて、






「うんうん、やっぱ、地元って強いよね。」







ユミに同調した。







ここで突っ込んだら、さっきのような無口なユミに戻ってしまうと思ったから。







聞き出したいなら、ユミのペースにあいづち打っててあげるのが一番。







「しゅんくん、車の仕事してるんだって。あの、動けなくなった車とか助けにきてくれるのあるじゃん?なんだっけ・・・」







ユミの問いに。







それ・・・テレビとかで見たことある、あれかな・・・?







って思いついた。







「え~っと、車の鍵とか開けてくれる人?」







「そうそう、それ!テレビとかでやるよね」







「あ~あ~、見たことある」







「ああいう仕事してるんだって。だから、道にも詳しかったんだよ。」







ちょっと納得した。







いくら地元とはいえ、道に詳し過ぎると思ったんだよね、あの時。






熟知してなきゃ、道路の凍結状況なんて、パッとは出てこないと思うもん。







「しゅんくんに・・・私、彼氏のこと、相談したの。」







「えっ、ユミが!?」







私はかなりびっくりしていた。







確かにユミは彼氏と離れること、不安がってるけど。








それでも、そういうのを、簡単に他人に相談するような子じゃなくて。






本当に信用してる人・・・彼氏とか私とか・・・そういう人にしか、見せないのに。







「最初はね、雪道、もう怖いって言ったんだけど・・・」







「そうだよね・・・」







「でも、彼氏の所へ行きたいし・・・って。そしたら、彼氏の所どこ?って、いろいろ説明してくれたんだけど。電話で言われても、やっぱわかんないじゃん?」







「うん・・・」

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