第8話
「でも・・・ごめん、私・・・もう一回、行きたいんだ」
ユミの言ってることがわからなくて、
「・・・どこに?」
って聞き返した私に、
「この前の・・・スノボのとこ・・・」
言いにくそうに小さい声になったユミの態度が気になる。
別に、悪いことしてるわけじゃないのに、なんでこんな・・・?
「いいよ?もちろん。ユミ、なんでそんな・・・全然大丈夫だよ~」
小さくなってるユミを気遣って、なるべく明るく言った。
「・・・彼氏の所、高速道路から離れてるじゃん?高速おりた後の一般道が・・・運転、不安なんだよね・・・」
そっか。
ぶつけて、不安になっちゃったんだね、ユミ。
「いいよ。冬休みで毎日時間あるんだし。練習行こうよ、何度でも。」
ユミのためなら、何度でも付き合うつもりだった。
4月から離れ離れになる、ユミと彼氏の悲しみがわかるから。
運転に慣れて、いつでもユミが会いに行けたらいい、って、私も思うから。
そんな私にユミは、
「・・・待ち合わせしてるんだよね、しゅんくんと・・・」
「しゅん?」
誰?って顔してる私にユミは、
「相手だよ、あの時の・・・」
言いにくそうに答えた。
「え・・・ぶつけた人・・・?」
(嘘でしょ)
って気持ちが、顔に出ちゃってたのかも知れない。
ユミは私から視線をそらして、うなずいた。
嫌な胸騒ぎがする。
今日ずっとユミの様子がおかしかったのは・・・これ?
ユミがポツポツと説明し始める。
「車の修理が終わって・・・改めて、電話したんだよね。最後にちゃんと挨拶して終わりにしなきゃって思って。」
「そうだよね、そのままってわけには」
ユミが快調に話し出してくれたから、壊さないように、ユミのペースに合わせた。
「初心者マークの都内ナンバーだったから、運転、慣れてないんだろうな~、って思ったら、怒れなかったって言ってたよ。」
「それで怒らずに・・・?」
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