第4話
「ここを右でしょ・・・んで、次また右だよね?」
言いながら運転するユミに、
「うん、たぶん・・・そんな風に言ってたような・・・」
なんて、すっごい曖昧な返事しか返せない自分が情けなくて、
「ごめんね、私、全然役に立ってないんだけど」
ユミに謝ったら、
「私こそ!本当ごめん。こんな時間まで、すっごい迷惑かけちゃった」
ユミがすまなそうに謝った。
「そんなことないよ~。でも・・・怒られなかったね。」
さっきの男性を思い出して、ユミに言った。
「ほんと!びっくりだよね~。実は、後ですっごい嫌がらせとかきたりして?」
「えぇ~、怖い~。でも、そんな人には見えなかったよ?」
「だよね。帰りの道まで教えてくれちゃってさ。っていうか、アカリ、けっこうしゃべってたよね。」
「・・・全然普通に話しかけてくるんだもん。」
「同じくらいの歳じゃなかった?ちょっと上かな?」
「ん~、上じゃない?落ち着いてるし、テキパキっと・・・しっかりしてそうだったもん。」
「そうだね。しっかりしてる感じだった。あ~、嫌だなぁ~。後でまた、連絡しなきゃだ。」
「そっか・・・」
「保険屋さんが入ってくれるけど・・・私もそのままってわけにはいかないよねぇ。一回は改めて電話しないと・・・」
ユミは真面目だし。
すごくしっかりしてるから。
保険屋さんに任せてそのままって風には・・・できないんだろうね。
いい人そうだったから、まだ救われるけど・・・。
それでも、ユミの憂鬱を想像して、かわいそうになった。
免許が取れたー!って、嬉しそうだったユミ。
車を買ったのー!って、喜んで私を乗せてくれた時の、ユミの顔が浮かぶ。
ユミは。
彼氏のために、免許を取ったんだ。
ユミの彼氏は、春から地方に就職が決まっていて。
そう、まさに、ここ。
私とユミでスノボに来た、この地に、4月から、ユミの彼氏は住む。
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