第3話
やっと戻ってきたユミは。
せっかく、やっと戻ってきたのに。
今度は保険会社に電話して、さっきからずっとお話し中で。
その間、私はやっぱり相手と二人にされてて。
黙ってるのも居心地悪い。
でも、話すことなんてないし…
どうしたらいいかわからずに、ソワソワするしかできない。
そんな私を知ってか知らずか、相手の男性は普通に話しかけてきて。
「スキー行ってきたの?スノボ?」
「あ、スノボ…です…」
「今日、硬かったよね~、ゲレンデ。あれ、転んだらヤバイよね。」
(ふんっ、ひとごとだ・・・)
「転びました、私。」
答えた私に、彼は痛そうな顔をした。
「ひぇぇ~、痛かったでしょ?大丈夫だった?」
「すっごい痛いです・・・絶対アザになる・・・」
私と男性が、そんな会話をしてる間にユミは、保険会社とやり取りをして、警察を呼んでいた。
車ぶつけると、時間かかるんだなぁ・・・なんて思いながら、私はみんなのやり取りを見ているしかできなくて。
最後に、ユミと男性は、お互いの連絡先を交換して終わりになった。
「本当、すみませんでした。」
深々と頭を下げて見送ろうとした私とユミに、
「この先、ナビはきっと右折って言うけど・・・。そのまま真っ直ぐいって、2つ目の信号を右折でも行けるから。遠回りだけど、そっちのほうがたぶん、滑らないよ。」
って、笑顔を向けた。
「そうなんですか?二つ目・・・」
ふ~ん、って顔してるユミに、
「大きい交差点だから、すぐわかるよ。右折したら、300メートルくらい行って・・・3つ目の信号だな。そこをまた右。ガソリンスタンドがあるからわかると思うよ。
じゃあ、気をつけて。」
テキパキと教えて、さっさと帰って行っちゃった。
説明が多過ぎて、私は『右』ってワードくらいしか残ってないんだけど・・・
ユミは、復習するように、さっきの説明をブツブツ繰り返してる。
「ユミ、今のでわかった?私ぜんぜん・・・」
「ん~、たぶん、行ける」
さすがユミ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます