メル友

第10話

こうすけに、職業を聞いたことはないんだけど、かなり忙しい仕事らしくて。


仕事の都合で、ジムの時間が変わる。


同じ時間に来る時もあれば、ずーっと見ないような時もある。








私は、仕事が休みの火曜日だけ、ジムに通っていて。


娘を保育園に預け、昼間は一週間分の家事をして、

夕方からジムへ。


火曜しか来られないから、今日みたいな台風の日でも、こうして来ちゃってたりするんだけどね。







でもさすがに・・・






(今日はお休みすればよかったな)







傘も役に立たないような、ひどい嵐。







来た時は、こんなひどくなかったのに・・・







ジムが終わって、帰ろうとしたけど。






あまりの激しさに、少し躊躇した。






(・・・どうしようかな・・・)

(もう少し待ってたら、少しはおさまるかな・・・?)







ジムの玄関から見える、外の嵐を眺めながら迷っていると、







「あっ、いた!」







聞き覚えのある声に、後ろを振り返る。







「こうすけ・・・」







「よかった~。電話したんだよ?」







「あ、ごめん、電源切ってた・・・」








「一緒に帰ろう。オレ、車だから、送ってくから。」







「あ、大丈夫・・・だと思う・・・」







「外、すごいよ!?危ないし。ちゃんと家まで送るから。」






「でも・・・」






こうすけと私の家は、まったくの反対方向で。


私を送ってたら、こうすけ、遠回りになっちゃうのに。






渋る私を支えるようにして、


「もう、お迎えの時間でしょ?いいから、急ごう。」って、





嵐の中を、こうすけは車まで連れて行ってくれた。

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