第4話

こうすけとは、あの日以来、ジムで会えば話すようになった。







休憩室での、たった30分くらいなんだけど。


私は時計をチラチラ見て、保育園のお迎え時間を気にしながらだけど。






何度もここで一緒の時間を過ごした。







それでも、お互いの連絡先は知らないから。







ジムだけの付き合い。






一ヶ月が過ぎても、半年過ぎても・・・






たくさん話はするのに、連絡先は知らない。






私がバツイチだってことも、母子家庭なことも、言ってない。






こうすけも、何も聞いてこない。






隠してるつもはないけど、でも・・・






ジムだけの、ただの顔見知りだから、私達は。






そう、ただの顔見知り。






頭ではわかっているのに・・・いつからか、こうすけと会えるのを楽しみにしてしまっている・・・






(だめだよ、やめなよ)って、


ストップをかける自分と・・・こうすけを探してしまう自分が混在していた。







それでも、こうすけは最初に言ってたとおり、いつも同じ時間に来るわけじゃなくて。






2週続けて来たかと思ったら、3週間来ない時もあったり。






ちょっとだけ、寂しさが胸を刺すけど。

でも、これでいいんだ。

こうやって・・・会えないほうが、いいんだよ。






会わなければ、これ以上、気持ちが進まずに済む。






そのうち忘れて、気にもならなくなる・・・






そう思うのに。






(・・・今週も来てない)


って思いが、頭から離れない・・・







・・・どうしよう・・・




忘れたい。

でも、忘れたくない。




会いたい。

けど、会ってしまったら・・・







そんな迷いに自分でも困惑しながら、ジムの前まで来た私に、







「おっ、久しぶり!」






さわやかな声がして、振り向くと、こうすけが微笑んでいた。







「あ、久しぶり・・・」






嬉しい、と素直に思った。






「仕事忙しくて、全然来られなかったんだけど。やっと、ちょっとだけ時間とれたから・・・抜けてきた。」







「え・・・大丈夫?」







「まぁ~、大丈夫だろ。それより、全然会えなかったしさ。どうしてるかな~とは思ってたんだけど、連絡先も知らないし」

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