第38話

口では美咲に強いこと言いながら、本当は・・・心の中でずっと自分を責めていた。







バカだな、俺・・・







なんて弱かったんだろう・・・







こんなに愛しい美咲を・・・


手放せるはずないのに。


忘れられるはずがないのに・・・







俺は・・・







どんな美咲だって大好きなんだ。







誰にも代わりはできない。







いつだって・・・







寂しがる美咲を、感情のままたくさん抱きしめてやればよかったと・・・後悔でいっぱいだった。







「・・・ごめんな?

俺たぶん、美咲の気持ちに甘えてたんだ。美咲なら大丈夫って、俺と美咲ならって・・・ごめん。」







「・・・ずーっと、拓の気持ちが不安だった。寂しくて、私は壊れそうだったけど・・・拓は平気なんだ、寂しくないんだって、いつも・・」







「俺だって寂しかったよ。

寂しくて、カメラに夢中になってなきゃ・・・大学にいられなかった。」







「・・・就職の事も・・・私、拓から切り離されたような気持ちだったの。

四年間も待ってたのは、私だけだったんだ、って・・・」







「そんな事ねぇよ。

俺が頑張ってきたのは・・・

美咲に認めて欲しかったから。

美咲が夢中になるような、かっこいい男になりたくて・・・」







「バカっ!!拓、バカだよ・・・。

これ以上夢中になったら、私、異常者だよ?

今だって・・・拓、追いかけて、実家出て来ちゃったんだから・・・」







「大丈夫か?

実家、カンカンなんだって?」







「ダメだよ。二度と帰ってくるな!って出されちゃったから・・・。

もう、帰れない。」







「ごめん・・・」







「拓のせいじゃないよ」







「違う。

だったら俺んトコ来い、って・・・俺はまだ、言ってやれない。」







「・・・拓・・・

そんなのいい。

そんなつもりで出て来たんじゃないよ?アパート借りて、バイトして・・・一人でやっていけるから、大丈夫。私はただ、拓の近くで暮らしていたいだけなの。」







「今はまだ、ごめんな・・・。

俺、これからだから・・・どうなるかもわかんないし。

でも、いつか絶対言うから。俺がもっと大人になったら、ちゃんと言う。だから、もう少し時間くれ。」

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