第35話
俺と美咲の別れが、4人の関係までこんなふうにしちゃうのかな・・・
長い沈黙を破って、加奈が遠慮がちに口を開いた。
「・・・ねぇ、拓・・・知ってる?
女の子ってさ・・・。
ほんっとに、ど~しても寂しい時・・・友達じゃダメな時があるんだよ?」
「ふぅん・・・?」
意味がわからない顔をしてる俺に、加奈が付け加える。
「・・・あのね・・・。
ギュッってしてくれる、男の人がいいの。理屈じゃなく・・・抱きしめてもらわなきゃ、どうにもできない時があるんだよ・・・」
(なんだ、それ・・・)
(そうなのか・・・?)
理解できなくて、横にいた裕太に目を向ける。
「う~ん、俺にもわかんねぇけど・・・
でもまぁ、お前、弱いって言うか・・・お前からなら取れそう、って感じあるよな。」
「・・・どこが・・・」
「・・・今もだよ。他の奴んトコなんか行くな!って取り返さないだろ?
絶対離さない!って強さ、お前には無いんじゃねぇ?」
「・・・」
その通り。
俺の弱さだ・・・
寂しさに向き合えなくて、避けてきたんだ。
寂しさが出ないよう、心にフタをして、忘れるようにしてた・・・
加奈の言う事も、裕太の指摘も・・・俺を全部見透かされてるようで、言葉が出なかった。
普段は穏やかな裕太が、ちょっと強めな口調で俺を責める。
「拓さぁ。どうしても!って時、飛んでってやったことあるか?
どんな美咲でも受け止めてやる!って強さ、見せたことある?」
(・・・強い俺・・・?)
寂しい寂しい、って飛んで行かないのが、強い俺だろ・・・?
離れてても、一人で頑張ってる俺が強さなんじゃねぇの・・・?
俺の思ってた強さが、間違ってたって言うのか?
いや、そんなはずは・・・
俺は、頭の中で自問自答を繰り返していた。
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