第34話
「今日は拓、お説教だからねっ!
だから呼んだんだからっ!!」
熱くなってる加奈に、
「ハイハイ。加奈ちゃんのお説教、た~っぷり聞いちゃいますよ~!」
にやけた顔で加奈の頭をポンポンたたいた。
「拓っっっ!何よ、その態度っっ!」
「・・・まぁまぁ・・・とりあえず飲もう。加奈も、少し落ち着けって。」
3人のグラスにビールを注ぎながら、加奈をなだめてる裕太に聞いてみる。
「・・・俺が悪いことになってんの?
振られたの、俺だぜ?」
「・・・だよなぁ。
俺もよくわかんねぇけど・・・。
でも加奈、ずっとお前らのこと応援してきたし・・・加奈がこんな怒るなんて、珍しいじゃん?」
・・・そうだ・・・
俺らの中で、一番大人の加奈。
いつも落ち着いてる加奈。
いつもみんなを助けてくれてた。
加奈が・・・こんな怒った事なんか、なかったよな。
「ごめん、加奈。ちゃんと話聞くから・・・」
俺はやっと、おとなしく耳を傾ける覚悟がついた。
加奈は、目の前にあったビールをグイッと流し込んでから、直球を投げてくる。
「拓は寂しくなかったの?
遠恋、四年も・・・」
「いや・・・。まぁ・・・寂しかったよ」
寂しいから、他の事に目を向けて紛らわせてきたんだ・・・
「耐えられない程ではなかったんだ?
それとも、平気なフリしてたの?」
「ん~・・・。どっちも、かな。
寂しい寂しいって、そればっかの生活にはなりたくない、とは思ってた」
「なんでよ?」
「まぁ・・・よくないかな~、と思って。寂しいばっか言ってても、お互い、何のプラスにもなんねぇし。」
「拓はそれで平気だったんでしょ?寂しいばっかじゃダメだって、気持ち切り替えたら過ごせたんだよね?ずっと離れてても・・・」
「まぁ・・・」
そのまま三人とも黙り込んでしまった。
高校時代から、騒々しいくらいの俺たちが、こんなふうに静まる事なんてなかった。
美咲と加奈のおしゃべりが止む事はなかったし、俺と美咲のじゃれ合いだって・・・
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