仲間の助け

第33話

もうすぐ、大学四年間が終わる。







美咲と別れてから・・・



(ばったり会ってしまったら?)



それが怖くて、俺は実家にも帰ってなかったんだけど。







『たまには顔見せなさい!』







怒る両親に負けて、帰ることにした。







就職しちゃったら、全然帰れなくなるだろうしな。







いつも美咲と、日にちを合わせて帰ってた地元に、今回初めて一人で帰る。







高校の仲間とは、まだ続いていて。







俺が実家に帰ると、集まるのが恒例だった。







加奈と裕太と、それに・・・美咲。







「3人だけど、飲み行こうぜ」







裕太から電話をもらって、俺は一人で居酒屋へ向かった。







あいつら、俺に気を遣って、美咲は呼ばなかったのか・・・?







先に飲み始めてる裕太と加奈を見つけて、俺はあえて明るく言った。







「おう!なんか、悪ぃな。

メンバー、気を遣わせた??」







裕太の肩をたたいて、隣に座った俺に、







「・・・俺はいいけど、加奈が・・・」



そう言って裕太は、加奈をアゴでさした。







・・・裕太がビビるのも・・・わかる。







加奈は、見たことないくらい怖い顔をしてた。







加奈の言いたい事・・・わかってるよ。







美咲と別れたこと・・・







俺を責めたいんだろ・・・?







けど、俺は・・・美咲の話を出されたくなくて、あえて、おちゃらけた。







「う~わ・・・、怖ぇ~。

裕太、おまえ何したんだよ~?」







深刻な顔してる二人の前で、一人ヘラヘラ笑ってる俺が気に障ったんだろう。







グラスが飛び上がる勢いで、加奈がテーブルを叩いて怒鳴った。







「拓っっ!ふざけないでよっっ!」







「・・・なんだよ~。久々なんだからさ、そうカリカリするなって~」







俺は・・・


美咲をまだ忘れられてない俺は・・・







ふざけてないと、弱い自分が流れ出してしまいそうだったんだ・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る