第32話

「拓、だぁい好き。」







気は強いくせに、少し甘い、美咲の声。







抱きしめた時の肌の匂いも、つないだ手の柔らかさも・・・







・・・美咲・・・







お前の全部が、俺に染みついていて離れないよ・・・







どうかしてしまいそうだ・・・







・・・美咲・・・







お前じゃないなら俺は・・・

もう誰も愛せないから・・・







離れていても、ずっと続いていけると信じてたのに・・・







俺と美咲なら、と・・・







あれだけ強い気持ちがあったなら・・・







・・・だけど・・・







許せなかった。







想いが強い分、どうしても許せなかったんだ。







・・・他の腕で眠った美咲を・・・







俺じゃない手に触られた体を・・・

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