第31話
次の朝。
「あれっ!?すげぇ。
ちゃんと来たんだ?」
一限からの授業に顔を出した俺に、まさとが言った。
「あったり前だろ~。
俺、真面目な大学生よ!?」
「おお~!夕べの野獣はどこへ?」
「研究熱心と言って欲しいね。
いろんな女性と知り合って、自分を高めていく・・・」
「あはは~。ただ、いろんな女とヤりたいだけだろ~?
けど、朝、よく間に合ったな?」
「自分ちからだよ。
俺、泊まんねぇの。
サッサと済ませて家で寝た。」
「お前、それ、やり逃げ・・・」
「顔もロクに見てねんだよ?
名前も覚えてねぇし・・・ヤダよ、朝まで一緒なんて」
「う~わっ・・・拓ってこんな悪い奴だったっけ~?
あー、俺、女じゃなくてよかった~」
・・・どんなに遅くなっても、俺は必ず帰る。
俺のアパートにも泊めない。
知らない女と、朝を迎えるのが耐えられないからだ・・・
顔を見ないのも・・・
美咲の顔がちらつくから・・・
・・・美咲・・・
いつまでたっても・・・
誰とヤっても・・・
俺は、美咲が拭い去れない・・・
・・・美咲・・・
お前はどうしてる・・・?
ちゃんと、幸せでいるのかよ・・・
目を閉じると今でも・・・
「別れたい」と言った、美咲の真剣な顔が浮かんで眠れなくなる・・・
俺はどうしてあの時・・・
『ごめんね、拓・・・』と離れていく、美咲の腕をつかめなかったんだろう・・・
「別れたくない」と、言えなかった。
・・・あの時はまだ・・・
美咲を許せる自信がなかったんだ。
他の男に抱かれた美咲を、抱く勇気がなかった。
美咲の部屋に・・・
美咲のベッドに・・・
行く覚悟ができなかったんだ。
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