第25話
黙ってバスを降りて、足早に駅へ向かう拓の態度は、まるで私を振り切るようだ。
小走りで追いかける私の事なんて・・・見えてないかのように。
いつもなら・・・
拓が帰る前はいつも・・・
一ヶ月分のハグをしてから、
「またな!」って、
「頑張ろうな!」って、
何度も何度も心配そうに私を振り返りながら、改札をくぐって行く。
それなのに、今日は・・・
触れもしなかった。
振り向きもしなかった。
まるで他人のように、私を無視したまま改札を抜けて行った拓を見て・・・
私はその場に泣き崩れた。
こんな事、一度もなかったのに・・・
私に対する、怒りと失望。
・・・それから・・・もしかしたら、別れも。
拓の態度に、気持ちが表れてる気がした。
(私がいけないの?)
拓を応援できない私は・・・
もう愛されないの?
もう・・・触れてもくれないの・・・?
・・・いつからだろう。
こんなふうに、拓の顔色ばかりを気にするようになったのは。
たぶん・・・
理香さんを知ってから。
私は、理香サンみたいに美人じゃないから。
拓の就職だって、応援できない。
理香サンみたいに、毎日毎日、拓のそばにはいられない・・・
私だってこんなに・・・そばにいたかったのに・・・
どうしたらいいの?
わかんないよ・・・
・・・助けてよ、拓・・・寂しいよ・・・
寂しくて、苦しくて、おかしくなってしまいそうだよ・・・
・・・ねぇ、お願い・・・
・・・誰か、助けて・・・
一人では抱えきれない寂しさが、全身から溢れ出していた・・・
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