第24話

(・・・違う。)







理香サンは、拓が好きなんだよ?

鈍感な拓が気づいてないだけ。







・・・私と・・・いつも視線がぶつかるのは、理香サンも拓を見てるから。







同じ気持ちを持つ者同士だから・・・私には、わかるよ。







大事な所で、拓はいつも鈍感なんだ。







拓の鈍感さがもどかしくて、むかつく。







本当に、にぶいヤツ・・・







「拓は・・・私の気持ちにもずっと気づかなかったもんね。3年間もずっと・・・」







「なんで今さらそんな話!?

俺は今、仕事の話してんだぞっ!」







・・・やっぱり・・・拓は全く、理香サンの気持ちに気づいてないんだ・・・。







毎日、拓と一緒にいる理香さんの存在に、ずっと苦しんできた私の気持ちも・・・きっとわかってない。







会いたくても会えない毎日に。

一緒にいたくてもいられない、この距離に。







私がどれだけ泣いてきたかなんて・・・拓は全然わかってくれないんだ・・・







「なんでわかんないのよ・・・っっ!

どうしてそんなバカなわけっ!?」







「はぁっ!?

わかんないのはお前だろっ!?

なんで俺の努力、喜んでくれないんだよっ!?俺がどれだけの時間、カメラに費やしてきたか・・・」







カメラに費やした、その長い時間を・・・ずっと、理香サンと一緒に・・・







その陰で、私がどれだけ不安な

思いしてきたか知ってるの・・・?







一緒に地元へ戻る日を支えに、四年を指折り過ごしてきた事を・・・







「・・・嫌いだよ・・・。私、嘘つきは、大っ嫌いっ・・・!」







ケンカ別れのように、拓は無言で部屋を出て行く。







「ちょっと待って、拓・・・」







呼び止める私を無視して、拓は駅へ向かうバスに乗り込んだ。







「拓っ・・・帰るの・・・?」







私もあわててバスに乗った。







拓は・・・駅につくまで一言も口をきかなかった。







昔からそう。







深刻な時こそ。

窮地の時こそ。







黙り込むんだ、拓は。

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