第23話

「美咲ー!俺、就職決まったんだ。今の所、来ないか、って!!」







(美咲の、あのかわいい笑顔が見られる!)







そう思っていた俺の目に映ったのは・・・まったく笑ってない、青ざめた美咲の顔だった。







「・・・ウソでしょ・・・?」







「本当だよっ!すごいだろ~!?」







「・・・約束したじゃない。戻るって。

私はちゃんと、地元に就職決めたんだよ・・・?」







「・・・そうだけど・・・でもこんなチャンス、逃すわけないだろ?」







あんなに頑張って手にしたチャンスを、一緒に喜んでくれない美咲に俺は少しムッとしてた。







仲間はあんな喜んでくれたのに・・・







「ひどいよ、拓・・・。

あんな寂しい思いして、やっとここまで続けてきたのに・・・やっと、四年が終わると思ってたのに・・・これからも・・・いつまで苦しまなきゃいけないのっ!?」







「・・・ごめん。でも俺、今の所で頑張りたいんだ。やっと叶ったんだよ。

だから・・・わかってくれよ。頼む!」







「・・・嘘つき・・・。

私は約束守ったのに・・・拓は守ってくれなかったんだね・・・」







「確かに約束したけど・・・でも、状況で変わる事だってあるだろう?

どうしてわかってくれないんだよ?仲間は喜んでくれたのに・・・なんで美咲は応援してくれないんだよ?」







俺を一番わかってくれるはずの美咲が、理解してくれない事がもどかしかった。





すごいね!って・・・笑顔を見せて欲しかったのに。







誰よりも一番、美咲に認めてもらいたかったのに・・・







美咲の顔は、青ざめたままだ。







「・・・ねぇ・・・仲間って・・・サークルの仲間に、もう言ったの・・・?」








「すぐ言ったよ。毎日顔会わせてるんだから、そりゃ言うだろ」







「そうじゃないっ!

私がまだ何も知らない時に・・・理香サンには知らせてたの・・・?」







「理香?

・・・あのなぁ・・・。

ことあるごとに、『理香理香』って、目の敵みたいに・・・サークルの仲間じゃん?悪く言うなよ。」

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