第13話
アパートの住所は知ってる。
卒業式にもらったメモをポケットに押し込んで、俺はとにかく新幹線に飛び乗ったんだ。
連絡してないけど・・・
いつでも来ていいって言ったもんな??
『安さで選んじゃったから』
そう言っていた美咲のアパートは。
新幹線の後、さらに電車とバスを乗り継いでやっと到着した。
あいつは大学までバス通学だと言ってたけど。
ホント・・・。
車でもなきゃ、生活できねぇな・・・
寂しいくらい、な~んにもない所だ。
こんな寂しい所に、あいつは女ひとりで暮らしてるのか・・・
メモに書かれたアパートのドアに、見慣れた美咲の傘を見つけて、なんだか少しホッとしてしまった。
[ピンポーン]
チャイムを鳴らす。
・・・あれ?留守か?
[ピンポーン]
2度目。
やっぱ・・・連絡してから来ればよかったな・・・
[ピンポーン]
3度目のチャイムを押しながら呼んでみる。
「美咲ー、いないの~?みさ・・・」
[ガチャ、ガチャッ!]
と、突然ドアが開いた。
「・・・拓っ!?」
びっくりした顔で、美咲が出てきた。
「なんだ、いるんじゃん。」
「ロクなの来ないから、いつも出ないようにしてんの!」
「あぁ、そっか。
せっかく来たのに、いないのかと思って焦っちゃったよ。」
「なによ、急にこんな・・・」
「・・・いつでも来ていいって・・・美咲が言ったんだろー?」
「そうだけど・・・でも、先週会ったばっかじゃん!もう・・・、バカっ!」
そう言いながら、美咲は俺の胸に飛び込んできた。
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