第11話

「こんな鈍感だから、3年間も気がつかないのよっ!」







「・・・3年間って・・・?」







「そうよっ!3年間ずっと・・・ほんっと、拓のバカっ!」







「そんなバカバカ言うなよ・・・。

・・・そっかぁ・・・なんだ、俺たち・・・アハハ、バカだな~」







「拓が鈍感過ぎなのっ・・・!!

美咲はいろいろ言ったのに・・・全部『いい』って断るんだもん・・・」







寂しそうにうつむいた美咲が、最高にかわいくて、俺は初めて、そっと美咲の顔に触れた。







「ごめん。全然気づかなくて・・・」







今までつねってばかりいた美咲の肌は、温かくて柔らかかった。







引っ張ってばかりいた髪も・・・こんな甘い香りがしたんだ・・・







初めて優しく触れてる俺に、美咲のパンチが飛んでくる。







「・・・拓なんか・・・もう・・・っ!」







強いパンチのわりに、いつもよりカワイイ声。

目を合わせない、赤い顔。







(・・・そっか、わかった)


美咲の凶暴さは、愛情の裏返し。

照れ屋なとこは・・・俺以上だ。







普段あんな生意気なくせに。







今まで見せたことのない、女の子らしい美咲を放したくないと思った。







いつも近くで見ていたい。







いつも、俺の手の届くところに・・・







照れくさそうにうつむいたままの美咲に、俺は心の中でつぶやいていた。







(・・・バカヤロ・・・)

(離れるのが、つらくなるじゃねぇかよ・・・)

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