第5話

「あっそ!!じゃ、加奈と仲良く勉強すればっ!?」







「言われなくてもそうするよっ。

加奈、頭良いしな。お前と違って。」






「・・・ムカつく・・・っ!

拓がバカじゃん!大バカだよっ!」







ノートで俺の頭をバシッ!と叩いて、美咲はスタスタ帰って行った。







「何だよっ!?凶暴オンナっ!!」







・・・あ~あ・・・

またやっちゃったな・・・







ノートコピーを理由に、一緒に帰れたかも知れないのに・・・







なんで素直に言えねぇのかな、いつも・・・







『明日、謝ろうか?』


・・・毎回そう思う。







美咲の肩を軽く叩いて、







「悪かったな、昨日。ジュースおごるから許せよ!」







これでいい。

簡単じゃん。







そう思うのに、一度だって言えた事がない。







・・・毎日毎日・・・







授業中、斜め前に見える美咲の背中を気にしながら・・・期末試験の最終日を迎えた。










(終わった~)







卒業を前にした、期末試験。







結果なんかどうでもいい。







とりあえず、解放されたんだ。







昨夜の寝不足で、ちょっと頭が痛ぇけど。

でも、最後くらい少し頑張りたかったから。







試験から解放された、卒業を待つだけの俺。







真っ直ぐ帰るのは何だかもったいない。







(裕太でも誘うか・・・)







そう思っていた俺の前に、大量の荷物がドサッと置かれた。







(・・・はぁっ・・・!?)







・・・美咲だ。







「今日、荷物重いんだよねー。帰り、一緒に帰ってあげてもいいけど?」







気まずいままだったから、嬉しかったんだけど・・・俺はまた・・・







「なんでだよ!?いいよ、別に・・・」







「美咲サマが一緒に帰ってあげる、って言ってんのに!喜びなよっ!」







美咲はいつも上から目線だ。

凶暴で、ワガママで、生意気で・・・







でも・・・メチャメチャかわいい・・・







本当は・・・俺は・・・







こいつの事が、大好きなんだけど。







ふっかけられると、つい、なぁ・・・

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