第13話 ぼくはまわりみちをいく

 スーパーへ行くには、坂道を下り、交差点を渡ってもう一本おくの通りに出るのが1番早い近道だった。


 そのまま、コンビニや学校、郵便局をまっすぐ通ってもう一つの交差点を右に曲がってまた坂道を上っていけばいい。いつもの道、いつもの通学路。だけど、今はゾンビのむれが昼も夜もうろついていて1番危ない道。


 ここらへんは家がいっぱいある。コンビニやスーパーは少なくても、家は多い。だから大きい道路につながる細い道はたくさんあるし、抜け道だっていっぱいある。それをたどっていけばゾンビに会わないでスーパーまで行けるようになっている。


 前と後ろ、そして左に右を確認すると、じゃり道の方を下っていく。音がしないようになるべく草が生えているところを歩きながら一歩一歩おちついて少しずつ進んでいく。


 まわり道だけどこっちの方はもともと人があんまり住んでいない。細いくねくねとしたじゃり道の両サイドに10軒くらい家があるだけ。それも昔から住んでいるような古い家ばっかりだ。住んでいる人はもうみんなとっくにゾンビになっているか、それか死んじゃってるかもしれないけどその前からもうかなり年をとったおじいちゃんやおばあちゃんばかりだから急に出てきたとしても急いで逃げればいい。


 近くに住むおばあちゃんは、チョコレートやスナック菓子とかよくお菓子をくれる人だった。


 毎月ボクが回覧板を持っていくと必ずお菓子を用意して待っていてくれる。めったにお菓子なんて食べられなかったから、お店で見たことのないようなお菓子でもおばあちゃんからもらえるお菓子はなんだっておいしかった。


 おばあちゃんは、笑顔が優しくてボクと血がつなっているわけでもないのに、自分のことをおばあちゃんだって言って笑っていた。そのおばあちゃんも、もうゾンビだ。


 おばあちゃん家を通りすぎれば右に曲がる橋がある。ここにもゾンビはいなくてボクは少し早足になって先を進んだ。橋をすぎれば周りが大きな道路に出るけど、その手前の木に囲まれたしげみでしゃがみ込む。


 変わらず何台か車が止まっていた。ゾンビがおそったのか、中にいた人がゾンビになって暴れたのかわからないけど、窓ガラスがめちゃくちゃに割れていて車の周りにはドス黒い血の跡みたいなシミがついている。


 ここからは交差点を渡らないといけない。


 少し立ち上がってのぞいてみれば、やっぱりゾンビがうようよと歩き回っている。小学校も中学校も近くにあるからか、大人のゾンビのすがたにまじって子どものゾンビのすがたもある。ボクよりも小さな、もしかしたら入学したばかりの1年生のゾンビもいた。

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