第2.5話 手紙の内容とジュール号のメール
ボトルメールを船頭見習いが拾った。中を開けてみると、宛先がウォルト船長となっている。
「きっとこれは、ジュール号に届くように細工がされたものだ」と、ジョンスンが証言した。
ウォルトが慎重に文面を読み始める。
『J号船長 ウォルトへ
覚えていますか? 私は、ジェーンです。あなたの船の名前はもう決まった?
応答があるなら、この下に書いて、そして海へ投げ出して。』
「ウォルト、心当たりはあるの」と青い瞳の姫が言った。名前はロゼッタだ。ロゼッタは、二つ前の島へ出会い、次の島で降りるといっていた。どこかの国の使者だ、といっていた。
「ある……」そう言って、ウォルトは俯いた。
それから、ウォルトは様々な話をした。ジュール号の名付け親は父親の名であることこそぼかしたが、ジェーンが自分の母親であることを語った。きっと父親もそこにいるだろう、とウォルトはいった。しかし、「父親はなんという名前なの?」という問いは来なかった。
——彼らには「父親」で十分だった。
青い夢の旅日記 Ⅰ 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel
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