至る味
駅前の雑居ビルの一階に小さな店が営まれていた。
片手程の提灯行灯に「小料理屋 子狐」とあり、小さな瓦葺の屋根が雨避けでせり出している、店前には猫の額ほどの白玉砂利の敷かれた箱庭のような庭園と古びで苔むした蛙と所々が傷つき禿げた狸が佇んでいる。名入りのくたびれた暖簾と使い込まれて戸口がすり減った格子戸を開ける。
割烹料理店のようなカウンター席のみの店内も、古さはあるが使い込まれた年月が良い味となって美しく輝いている。
「いらっしゃいませ、よろしければこちらへどうぞ」
歳の頃は35くらいだろうか、着物姿に割烹着を来た妙齢の女主人だ。
店の明かりでほんのり輝く襟元から頸までのラインは十二分なほどに女の色香を醸している。看板に偽りなしとでもいうように、小狐顔に笑窪を湛えた彼女は私に席を勧めてくれ、素直にその席へと腰を下ろした。
テキパキとした手取りで温かい緑茶が出され、温かい湯気をたてるおしぼりが差し出される。
「どうも」
「いえ、寒くなりましたね」
「本当に出張で来たのですけど、今日は冷える方ですか?」
「昨日までは温かったのですけどね、今日は冷え込んでいる気がします」
「じゃぁ、熱燗を、できれば湯煎で」
「あら素敵、寒かったですし、ちょうど良いですね」
もう秋野風が吹き遊ぶ夕暮れ、昼間は小春日和より高い気温で汗ばんだほどなのに、歩いてくる道すがらは襟元を抜ける風は冷たかった。
「女将さんでいいのかな?もしかして若女将?」
「どちらでも、そこはお任せしますわ」
揶揄う微笑みを見せながら、口元に人差し指を当てナイショとでも言いたげに可愛らしく誤魔化して、裏の棚から取り出した白磁の徳利に小瓶の日本酒の封を切って注いでゆく。
女将、いや、若女将は袖口を指先で摘み、徳利を持った色の白い手を湯気が立ち昇るあたりに優しい所作でそれをつけていく。
私はソレを眺め終えると用意された緑茶を啜った。両手で湯呑を包み込み、冷えた指先を温めながら飲む一口は薄くもなく濃くもない私好みの味で一息つけるほどに美味いものだ。
「お通しです」
お通しの乗った小皿が出され酒前だが一口摘まんでみる。
上品でもなく下品でも無い、実家の手料理のような旨さだ。私好みの味つけで心が弾み、もう一口、もう一口とゆっくりと箸が進んでゆく。
食べながら小さな調理場の後ろに視線を向けてみる。
店の顔ともなる棚には上段と下段で仕切られており、上段にはススキの穂が秋らしく色柔らかな生花と年季の入った「小料理屋 小狐」と掘り込まれた額面のような重厚な看板が長年磨かれた光を放ちながら佇んでいた。下段に並ぶ数多くの料理皿も月日の色合いを輝きで見せては目を楽しませてくれる。それは色褪せたではなく、大切に扱われていたからこそ、年期を帯びた輝きを放っていた。
「こちらと卓上のメニュー表から選んでくださいね」
差し出されたお品書きを受け取ると思わず目を丸くしてしまった。
和紙に版画刷りされたお品書き、長年使われ続けた原板で刷られたようで、四隅に滲みを帯びた小狐の姿がとても可愛らしい。卓上のメニューは印刷されたものだったが、手渡された御品書きより選ぶ方がとても美味しそうだ。
「じゃぁ、天ぷらの盛り合わせをお願い」
「はい、畏まりました」
気が緩んでしまったのか、作法を明らかに無視しそのままに好きなモノを口走ってしまう。それを嬉しそうに受けてくれた。
若女将の仕草をときよりぼんやりと眺めながら、ふとスマートフォンを取り出してマナーモードになっているかを確認した。
その音を聞くのが嫌に思えてしまうほど、木造りの温かみのある落ち着いた雰囲気の店内は大人の隠れ家とでもいうようであり、俗世を持ち込みたくないほどに心地よい雰囲気だった。
テレビやラジオの音もなく、まな板を小刻みに叩く包丁の音と熱燗を熱する湯の音、そして外より聞こえ来る風の音、椅子の背凭れに背を預けてゆっくりと息を吐いた。
「お待たせしました、熱燗ができましたよ」
「あ、ありがとう」
熱燗とお猪口の乗った小さな盆が差し出された。
私は特に考えることもなく素直に受け取ると、手酌でササッとお猪口に移しては口へとゆっくりと運ぶ。
一息、二息と冷ますような仕草をしてから唇に当てた、芳醇な香りが漂い、口に含んで飲み干せば温かさと旨さが五臓六腑に染み渡るほどに心地よい。
酌をするつもりで居てくれたのか、彼女はそんな私の仕草を見て可愛らしく笑っていた。
「あれ、これ、もしかして初玉です?」
「え?ええ……」
慣れ親しんだ口当たりに肩の重しがコトリと外れ落ちてゆき、口にした銘柄は、どうやら正解であったようで若女将が小さく頷いた。
「なにか?」
「いえ……、お酒の銘柄を言い当てられたのは初めてですよ。初玉ってよくわかりましたね」
「いつも飲んでいる銘柄なのでもしかしてと、でも、自分で熱燗にするよりずっと美味しいですけど」
「お上手ですね、もしかして、飛騨のお生まれ?」
「いいえ、まったく、東京生まれの東京育ちです」
「あら、それでしたら飛騨のお酒を好まれる理由が気になってしまいますね」
若女将の訪ねることももっともだ。
ただ単に好きだからではない、この酒は私が生まれる前から必ず自宅にあった。祖父が常に晩酌で飲んでいた、大学へと進学した初めての祝い酒で飲んだのもこの初玉、だから印象深く愛着のあるのだ。
「祖父母が下呂辺りの出なんです」
「あら、それも偶然、私のお婆ちゃんもその辺りです」
「そうなの?」
「はい、といってもお婆ちゃんの故郷はダム湖の底ですけど……」
「もしかして遺跡が近くにあったりします?」
「ええ……、まさか祖父母さまも」
「一緒ですね、こんな偶然があるんだなぁ」
互いの祖父や祖母の生まれ育った地から遥か彼方、地方でこんな偶然があるとはと嬉しくなる、気分を良くした私は徳利を手に取って若女将へと少し傾けた。若女将は察してくれて自分専用であろう可愛らしい小さなお猪口を手に取るとお酒を受けてくれる。可愛らしい口元がすっとお酒を飲み干し、私の空になったお猪口をめざとく見つけて、徳利を受け取ると傾ける仕草をした。
「今どきの若い方はそんなことしませんよ」
「これも祖父譲りで、飲み会の度に年寄りくさいってよく言われてます」
「ふふ、若いおじいちゃんですね」
「孫どころか、相手さえいませんけどね」
互いに笑い合い、注いで貰ったお酒をクイと飲み干す。
1人での晩酌でないためか、変わらない味なのに満たされてゆく、そんな旨い酒の味だ。
天ぷらの上がる独特な音を聞きながら、ゆっくりと熱燗を飲み干して、徳利を真上に傾けた頃合いに新しいものが差し出され再び味と酔いに浸った。
店内に他の客はなく、私が静かに酒を嗜むことを悟ってくれたのか若女将は静かに調理を進めてゆく。
昨日は営業所長と呑みに行き、彼の行きつけのスナックはママもチーママも大変におしゃべりで酒豪だった。話はとても面白くて会話には花が咲いた。飲み比べをして私が危うく潰れかけるところであったが、その辺は2人ともプロの心得があり、いい塩梅でおあいそに導かれて、震える子鹿のような足で宿泊しているホテルへと帰り着いていた。
だから今日は静かに吞もうとも考えていたのでこの配慮は嬉しかった。
腕時計に目をやれば早い時間ではないのに暖簾をくぐる客は来ない。静かな店内は居心地がよく、静かな刻をぼんやりと過ごすことができる。
「同じ地域出身の孫同士、せっかくですから一品ずつ揚げますね、お客さんも今日は無いでしょうし」
若女将が手早く私の前に天ぷら皿とつゆと塩を置き、天麩羅専門店のように一品一品を天ぷら皿へと添えてくれる。
天ぷらは揚げたてが一番旨い。
良い油、良い品、良い腕、良い感性、それが揃えば、衣の色豊かに、かほりが閉じ込められ味わいが深くなる。さくりとした触感とじんわりと滲み出してくる味わい、個性豊かなそれぞれの旨味を堪能した。
食べ終えては余韻に浸り酒を嗜む、すると程よい加減で次の品が揚がりだされるといった具合で、若女将の腕前はたいしたものだと感心してしまった。中々できるものではない。きっと長けているのだろう。
さつまいも、かぼちゃ、紫蘇、銀杏、海老と味わいを食してゆく。
最期を飾るのは栗の天ぷらだった。
小ぶりの栗が衣に包まれ、紅葉の葉が添えられて秋らしさが漂ってくる。
「栗の天ぷらですか、祖母がよく作ってくれましたよ」
「秋の一品です、渋皮ありと渋皮なしの2種類、山栗だから甘さはないですけど……」
「祖母も同じでした」
「あら、祖母さまもです?」
「ええ、故郷で覚えた味だっていってましたね」
薄皮一枚で味はここまで変わるのだと味わっては久々に思い起こす。
最後の一口を口に運んだ頃合いに、外からサーっと雨音が障子窓と格子戸より冷気を帯びて聴こえ漂ってきた。
秋の冷たい雨が脳裏に浮かび、思わず熱燗を数杯ほど煽って体の芯を温める。
「秋雨……ですね」
「うん」
若女将がぽつりと漏らして格子戸の先を見つめたので、同じように視線を向けて相槌を打っては御猪口の酒を煽る。
「もう一杯どうぞ」
「え?」
「雨音聞いていたら寒くなりません?」
「そうですね」
それを聞いた若女将が小さく身を震わせて小さな御猪口を再び手に取った。
「ふふ、では、遠慮なく頂きます」
「はい、どうぞ」
差し出された御猪口に徳利の酒を注ぐ、2人の間で湯気とかほりが立ち昇って温かさを更に添えた。
「ついでに乾杯」
「はい、乾杯」
何に乾杯すると言うこともなく、ただ、そう言って2人で猪口を口に運ぶ。芯から温まるそんな酒だ。
「美味しい」
「うん、美味しい」
「お酒だけじゃないって覚えておいてもらわないと、他はなにになさいます?」
「そうだなぁ、お任せでお願いできますか?」
「え?」
「お通しも手作りでしょう、それに酒の好みも合う、なにより天ぷらの栗、お任せにしても間違いはないと思うんですよね」
「それは、ちょっと敷居が高くなっちゃったかな」
そう自信満々に伝えてみると、若女将は子狐顔の柔らかい頬を指で掻いては照れた。その姿もどこか懐かしく可愛らしい。
「じゃぁ、ふる里の味って頼めますか?」
「ふる里の味?」
「もし違っていたら申し訳ないですが、料理はお婆さん仕込みです?」
「ええ、仰る通りです。すべてお婆ちゃんから譲り受けたものばかりなんですよ。このお店の看板もお皿も」
若女将は慈しむような視線を【小料理屋 子狐】の看板へと向ける。
「なら、なおさらいい料理でしょう」
「えっと……」
「あの味の栗の天ぷら、もう食べられないと思っていたんです。それほど祖母の手料理に似ていました」
懐かしい味だった。
ただ、揚げただけの栗、けれど、衣、味わい、温かさ、それは祖母の手作りの味によく似て、いや、似すぎていた。
私が高校に進学するまでは、祖父は亡くなっていたが祖母は健在だった。腰が曲がり皺も深くなった老婆となっても、働き者だったのを覚えている。忙しかった母を気遣って祖母が家事全般をこなしていた。掃除や洗濯、そして料理も。亡くなる日の前日まで祖母は料理を作り続け、そして、翌朝に天寿を全うして布団の中で静かに息を引き取っていた。
部活の朝練で早起きしていつもならば祖母の姿があるはずなのに、室内は暗くしんと静まり返っていた。体調でも悪いのかと祖母の部屋をノックしたが返事はなく、扉を開けて布団の傍まで駆け寄ると冷たくなっていた。
枕元には今日着るはずであった洋服と裏紙がクリップ止めされたメモ帳に朝の献立と思われるメモが記されていて、その隣には遺影になった祖父の小さな写真と若かりし頃の集落で撮影されたと思われる食堂に集まる同窓生6名が映る写真、私が小学生の時に作った写真立てに収まって置かれていた。
ああ、もう、話すこともできなくなってしまったのだと、酷い喪失感に襲われて、泣きながら冷たい祖母の手をしばらく握って撫でていたのを今でも思い出す。両親は出張でおらず海外から夜半に転げるようにして帰宅してくれた。それまでは私は祖母を一人にするまいと、警察の対応から葬儀会社の手配までを父の腹心だった部下の方と一緒に行いながら隣にあり続けたのを思い出してしまう。
「どんなお婆様だったんですか?」
「え?」
「もし、お話しいただけるなら、お婆様の人となりを教えてください、きっと料理に役立つと思います」
「そうですね……」
私はそれから少しの時間を祖母の話に費やした。
どんな人柄だったか、どんなことを好んだか、どんな料理を作ってくれたか。
父も母もそして私も祖母から料理を習おうとはしなかったし、覚えることもなかった。いや、覚えようとはしたこともある、けれど、祖母は男が御勝手に立つことを良しとせぬ昔ながらの女性だったし、母には母の実家の味付けがあるのだからそれを守ればいいと諭していた。
部屋を片付けている時に祖母の若い頃の字で料理を習っていたのか、使い込まれた数冊のノートを見つけたが、掛かれたレシピ通りに作ってもみたものの、その味は全くと言っていいほど違い、祖母の味が失われたことをただ強調しただけとなっていた。
「思い出の料理はなんですか?」
「そうですね、ありきたりなのですけど、朴葉の味噌焼きかな、祖母手作りの味噌で、何かこう自分が頑張らなければならない時などにゲン担ぎで出してくれましたね。色々試してみたけど、まったくできなかったなぁ」
「あら、うちも一緒でしたよ。じゃぁ、それにしましょう、味噌は自家製でお婆ちゃんの時から作り続けているものですから、少しは近づけるかも、具材は何がお好みでした?」
「お葱と椎茸、あとはえのきが乗っているシンプルなものかな、肉も食べたかったけど、あの時はあの野菜だけの味がとても美味しかったっけ」
「ウチも一緒です……。運動部に入っていたから本当はお肉も食べたかったんですけど、それだけって思えたのですけど食べると疲れが抜けていったんですよね」
「うん。ホッと一息つける味でした」
相槌を打ちながら納得してしまうほど考えていたことが嬉しくなる。料理で心が弾むのは何時ぶりだろうか、これなら料理も期待してしまう。
「これ、使っていました?」
「ああ、あったあった。小さい頃に遊んで怒られたっけ」
若女将が下の棚奥から取り出したのは、かなり年季の入った七輪(飛騨コンロ)だった。小さな四角形の珪藻土でできたコンロの周りには【小料理屋 子狐】と名が打たれている。我が家にも同じ形の物があり悪戯をしては祖母に怒られたのが懐かしい。
「では、用意してみますね」
「ぜひ、お願いします」
「できるまでもう一本どうぞ」
熱燗をもう一本間に若女将は手際よく調理を進めてゆく。
その姿を居住まいを正し背筋を伸ばしながら手元を覗き込んでみた、嫌がられることはなく、若女将はクスっと笑いを溢して許してくれる。
冷蔵庫から食材と一緒に取り出した大きな朴葉の葉を、使い込まれた蛇口の先から流れ出る水で軽く洗い、ボウルに水を張っては浸しておく。えのきを椎茸などは根元を切り落としてから程よい大きさに手で裂き、大きな手を目いっぱい広げたほどの皿へと盛り付けてゆく。
小さな七輪に固形燃料と金網を置き着火口の長細いライターを受け取ると目の前へと置いてしまえばすべての準備が整ったに等しくなる。
「そろそろお客さ…お名前を伺ってなかったですね」
「ああ、卯野原、卯野原雅弘といいます」
「卯野原さんですね。私は加賀美、加賀美綾子と言います。そろそろ朴葉の葉が葉戻……しっかりと水気を帯びました」
「お、葉戻りしましたか……」
ふとしまったと私は顔を顰めた。
「葉戻り」それはよく祖母に言われた言葉で、乾燥した朴葉が水気を吸い帯びると祖母は決まって「葉戻りした」と言い、それが燃料に火を点ける合図だった。
そして用意された卓上七輪の燃料に火を入れる。
すると、金網の上にこのように朴葉の葉が置かれて固くもなく柔らかくもない加減の味噌を葉の真ん中に垂らされる。それは火によって温められてゆき、ぽこり、ぽこりと気泡の姿を見せ始めた頃に、えのきや椎茸を和えて味噌と合えるように混ぜてゆく。
そう、祖母はこのように隣にきて菜箸で混ぜてくれた。
ゆっくりと優しく味噌が跳ねぬように気を払い、白いご飯と色の薄い味噌汁を目の前に揃えて。
「加賀美さん?」
「綾子でいいですよ」
隣にいつの間にか若女将、いや、綾子さんが調理をしてくれている。
祖母とのことを思い出しながらぼんやりと目の前を見ていて、祖母と同じような手つきで素早く調理を進めてくれていた。
「私のお婆ちゃんと一緒のこと言ってくれる人なんて、もう出会えないと思っていました」
「え?」
「葉戻り、お婆ちゃんも私に朴葉の味噌焼きを作ってくれる時は、そう言って準備をすべてしてくれました。大人になって飛騨で定食を食べた時に自分で作るなんてと驚いたほどです」
「もしかして、ふる里の流儀って言ってませんでした?」
「あ、そう言っていました。懐かしいな、もう、誰からも言われることもないって思っていたのに……」
綾子さんは嬉しそうに潤んだ瞳を向けてくれる。間近に見えるその顔はとても綺麗で、思わずドキリとしてしまうほどだ。
「さ、召し上がってください。出来上がりましたよ」
「あ、ありがとう、いただきます」
何もかもが懐かしかった。
白米から立ち昇る湯気も、色の薄い味噌汁の輝きも、朴葉の味噌焼きの加減も、すべてがあの自宅の食卓に並んだような懐かしさを宿している。
それらをゆっくりと口へと運び味わってゆく。
一口、一口、と噛み締める味わいは、懐かしくて涙腺が緩んでゆく。
もう、食べることのできなかった味わい、途絶えてしまったと思っていたあの味わいが、口の中に溢れて、それを噛み締めながら、私は無言でひたすらに食べ続け、それを綾子さんは嬉しそうに隣で見つめていた。
「おいしい?」
「うん、おいしいよ、おばあ……」
綾子さんの問いに祖母の声が重なった気がして、思わず言いかけてしまうと猶更に満足したようにな表情で綾子さんは喜んでくれる。
心が満たされてゆく素晴らしい味わいと時間と共に堪能してゆく。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした」
これほどの幸せの味を感じたことは無いほどに、とても満ち足りた食事となった。
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