親友のままでいたくないから!

キッカが今まさに俺に迫って来ていた・・・。

俺が疲れて宿のベッドで寝っ転がっていた時だった。

キッカがそんな俺に服を脱いで半裸状態で迫ってきているのは・・・。


だが、何とか間一髪で俺はキッカを止めた。


「どうして?」


「どうしてって言われても・・・」


「ライア、私の身体・・・好きにしてもいいんだよ・・・だから・・・」


「ごめん!それはさすがにできない!」


「え?」


キッカの表情が悲しげになっていた。

その瞳はまさに「なんでそんな事言うの?」と言っているようにも見えた。


「勘違いだったとはいえ、俺はずっとキッカを親友だと思っていた。それは今でも変わっていない!俺はこのままお前と親友のままで痛いから、こんな事は・・・」


「なんで・・・」


「え?」


「なんでだよ!!私はずっとライアが好きだったんだよ!」


「え、えええええ!?」


今度はキッカに告白されたああああああ!?


いや・・・。

でも、キッカ・・・。

泣いてる?


「両親が殺されて心にぽっかり穴が開いた私を救ってくれたのは、ライア・・・あんただった。それから私はあんたと同じ冒険者になりたいって思った!一緒に冒険者をやりたかったから!」


「キッカ・・・」


「だから私、必死で頑張った!つらい修行にも耐えてきた!あんたの事を想いながら!だから、私だけを見てよ!もう親友のままでいたくないよ!!」


キッカが泣いている。

そんなに俺の事を好きだったのか・・・。

でも、やっぱりその気持ちには応えられないよ・・・。

俺はずっと・・・。


「キッカ・・・俺もお前が好きだ。」


「え・・・?じゃ、じゃあ」


「でもそれは、お前の言う好きとは違うんだ!」


「え?」


「俺は親友としてのお前が好きだった!そういう好きの気持ちは無かった。」


「え?そんな・・・」


「でもがっかりしないでほしい!」


「?」


「俺は今のお前も好きだと思っている!だから、これからは仲間として・・・一緒に居てくれるか?みんなで一緒にさ?」


「ライア・・・」


落ち着いたのか、キッカの涙が少し止まった気がした。


「ごめん、私・・・でも、ライアの気持ちも分かった・・・でも、私のあんたに対するって気持ちは変わらないから!」


「・・・とりあえず、今日はもう寝よう!」


何とか俺はキッカを説得して、彼女を部屋から出した。



***



俺は考えた。

ここ数日で仲間が増えただけでなく、3人に告白されるとは・・・。

しかも、その内1人とは、キスしちまったけど・・・。


ああ!!ちくしょう!!


これちゃんと仕事出来るのか!?


寝られねえよ!!

もう!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る