キッカとライア
ーー5年前。
両親が殺されて天涯孤独になった私は、孤児院にその身を引き取られた。
私は親を殺されたショックけら立ち直ることなんて当然出来なかった。
そんな私は他の院の子と仲良くすることなんて出来なかった。
私に近づこうとする子もいるはずなかった。
"あいつ"以外は…。
そう、ライア…。
ライアだけは積極的に私に話しかけてきていた。
「おい!お前!一緒に遊ぼうぜ!」
「うるさい!黙ってろ!」
私は頑なに誘いを断った。
だが、あいつはいつも私に引っ付いていた。
本当にしつこい奴でこっちもうんざいしていたしていた。
***
そんなある日、ついに私は堪忍袋の緒が切れた。
「いいかげんにしろ!私はあんたお前なんかと仲良くなんかしたくないんだ!お前が私と友達になって何が変わるのか!?父さん母さんは帰ってくるのか!?」
明らかに八つ当たりなのは自分でも分かってた。
でもその時の私にとってはこれしかやる事が無かった。
私は執拗にライアに当たり散らしていた。
だが、そんな時だった。
「だったら拳で語り合おうぜ!」
ライアが拳を突き出して私に決闘を申し込んで来た。
「城東だ!やってやるよ!」
私達は必死に殴り合った。
でも私が強く殴ってもライアは殴る力をそれ以上に強くはしなかった。
むしろ逆に弱くしていた。
手加減しているんだな・・・。
そしていつの間にか決闘は終わっていて、もうどっちが勝ったかなんてどうでもよくなってしまっていた。
「お前、なかなかやるじゃん!」
「お前もな!あははは!」
こうして私達の間に強いきずなが生まれて、私はこいつに・・・。
惚れた・・・。
***
ある日、私達は互いの夢について語り合っていた時だった。
「キッカ!俺、冒険者になりたいんだ!」
「冒険者?」
「ああ、冒険者ってかっこいいし!俺の憧れなんだ!」
眼をキラキラさせてライアは嬉しそうに語り出していた。
年相応の男の子らしくてよかったな・・・。
「私も冒険者になる!」
ライアに惹かれたからなのか、私の夢もいつの間にか
元々私の夢は農家である両親の跡を継ぐ事であったが、両親が死んだ今、勤める畑も無くなってしまった為、もう私の将来は何もないと思っていたが、ライアみたいに冒険者になりたいと思えていた。
そして私が孤児院に来てから半年と早い時に私は里親に引き取られた。
私はライアとお別れになる事が悲しくて泣きそうになったが・・・。
「キッカ!いつか冒険者になれたら一緒にパーティー組もうぜ!」
その言葉に私は心を打たれて、私は里親の元へ向かった。
里親は優しい人で、私は何一つ嫌な思いをぜずに暮らせていた。
そして冒険者になる為に必死で特訓して、力を蓄えた。
そして
***
そして、5年経った今。
念願の冒険者になれた。
そしてなってすぐにライアと再会したのは驚いた。
内心少しうれしかった。
っというか・・・。
まさか、私・・・。
ライアに男だと思われていたのはかなりショックだった。
とはいっても当時は確かに自分でも男っぽい格好と見た目をしていたのが分かっていた。
それが災いだった・・・。
でも・・・
それでも・・・。
ライア、私はあなたが好き・・・。
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