第2話
午前の授業を終え、桜井さんとの予定がなくなってしまい、どうしようかと思っていたが、結局中央図書館へ行くことにした。
大学の図書館を普段利用しているが、中央図書館にしかない本もあるためたまに利用する。
もちろん桜井さんと過ごしたがったが仕方がない。今日は勉強をしよう。
「今日はすまない、来週は一緒に過ごそう」
桜井さんからのメールに俺は「来週楽しみにしています。仕事頑張ってください」と返信をした。
図書館には、平日の昼過ぎにも関わらず人が多々いた。浪人生だろうか。参考書と睨めあっている人や休憩をとっているのか寝ている人もいた。
俺は館内販売をしているコーヒーを買い、本を選び席に着いた。
小さい頃は、勉強なんてせめて大学までしかしないだろうと思っていたが、三十二歳になった今でもこうして勉強をしていることは少し不思議だ。
なんてことを考えながら勉強を始めた。
気づくと閉館時間十五分前になっていた。
周りのことも見えないぐらい本に夢中になっていたようだ。
閉館時間の放送が流れ始め、周りが段々と片付けをし始めた。
俺は丸まっていた背中を伸ばすために大きく伸びをし、俺も片付け始めた。
スマホを見ると桜井さんから、「ありがとう」という返信がきていた。
外に出ると小雨が降っていた。
折り畳み傘を持ってきていてよかった。スーパーで買い物をし急いで帰ろうと早歩きでスーパーへ向かった。
俺の住んでいるところは都会というわけでもないが夜でもそれなりに人は歩いている。
そんな人々の中で俺はある一人に目がいった。
その人は少し前を歩いており、スーツを着ていてもガタイの良さがわかった。
”桜井さんだ”
後ろ姿でわかってしまう自分に少し恥ずかしくなった。
多分仕事終わりなんだろう。
俺は声をかけようとしたが、その声をすぐにこらえた。
大学生ぐらいの若い男と一緒に歩いていたのだ。
仕事仲間だと思ったが、あんな人は大学にはいない。
では、あの男は誰なんだ。
学会の準備をすると言っていたから他大学の人だろうか。
他大学にしても若すぎないか。
生徒に勉強を教えていたのかもしれない。
一瞬のうちに色々なことを考えた。
なぜだかわからないが、嫌な予感がし俺はバレないように二人のあとをつけた。
二人で笑いあいながら歩いている様子を見ながらなんだか胸が痛んだ。
そんな二人のあとを追いながら色々なことを考えてしまう。
大丈夫だ、と自分に言い聞かせながら歩いた。
そして、二人は二階建ての建物の階段を上った。
俺はこの建物の二階に何があるのか看板を探すと、一気に地獄へ落ちる感覚がした。
”ラブホテル”
と看板には書かれていた。
俺にとって、 みるくてぃ @milk-00
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺にとって、の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます