第11話 ラノベ作家
ラノベ作家の指導を受け、おれは新しいSF作品を書き上げた。
『——またかよ……目覚めると、宇宙戦艦の艦長席に座っていた。「お前は選ばれし星間連邦の勇者だ」とかどういうこと? 目の前には無数の巨大戦艦が迫ってきてるんですけど? そもそも俺、戦艦どころかビート板くらいしか扱ったことないんだが……』
「え、えっと……とてもスリリングで、リアルですね……」
愛さんが無理して褒めようとしてくれているのが分かる。おれは赤面した。
「そ、それよりも愛さんの作品は?」
『職員室前ですれ違った瞬間——「ちょっと、何見てんのよ!」彼女がジト目で睨んできた。
いや、ちょっと待て、そっちこそ何か期待してるのか? もしかして、これはフラグか? おかしいな、手が勝手に彼女の制服に伸びてボタンを外して——え? 頬がほんのり赤くない?』
「……二行でフォーリンラブは健在だな。それにしても、ラノベっぽい唐突エッチ展開……ん? 愛さん、顔が真っ赤だぞ。実はこういう薄めのツンデレが好きなの?」
「コ、コミュニティガイドラインに従って答えられません!」
怒った彼女の姿は本当に可愛い。
でも、今はその可愛さに見とれている場合じゃない。
「それにしても……なかなか成果が出ないな。プロに教わるっ言ったって、合う合わないもあるんだな」
結局、おれたちに合う先生を見つけるまでに何度も失敗したのだった……
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