第5話 貴族の悪事を暴け

「いやぁ〜やっぱりウォシュレットは最高だぁ〜」


おじさんに頼んでウォシュレットを作ってもらって正解だった。これぞ日本人の叡智の傑作だ。

これを知ったらウォシュレット無しなんて戻れない。



さて、今日からはゴーレムの出処の調査だ。ギルドマスターはなぜこんなゴーレムの出処の調査を頼んだのだろうか……


「とりあえず、ギルド内で聞き込みだな」

「ギルド内で知ってる人なんているんでしょか?」

「まあ、十中八九居ないだろうな。だけど万が一があるからね一応の聞き込みだよ」


俺らはギルドに出向き、聞き込みを始めた。一見、ベテラン冒険者風の初心者冒険者、何か知らないものと戦っている雰囲気を醸し出している厨二病冒険者。中堅冒険者や本当のベテラン冒険者までありとあらゆる冒険者に聞き込みを行なったが、予想通りゴーレムのことなんて誰も知らないようだ。


「予想通りと言うか、ほーんとに誰も知らないみたいだねー」

「まぁ…そうだなー」


1週間が過ぎた頃、あまりの手がかりの無さに俺とナタリーは机に伏せダラけていた。


「が、頑張りましょう…」

「んー頑張るって言っても…こうも手がかりがないとなー。ん?なんだ?あいつら」


ギルドでは見かけない集団がカイラさんに連れられギルドマスターの部屋へと入っていった。


「あれは、王国騎士団ですね」

「王国騎士団?」

「はい。先頭は騎士団長のマーシャル・フォード。世界最強の呼び声高い方です」

「へぇー。そんな人がなんでこんな所に来てるんだ?」

「恐らくは、王国から直接の依頼…ですが、騎士団長自ら来るのは珍しいですね」


まぁ、騎士団長様と俺らは関係ないだろう。そんな事よりゴーレムの調査だ。報酬も良いし、とにかく調査を……と考えていたが、なんでここに居るんだ?

俺らはギルドマスターに呼び出され何故か騎士団長様の依頼とやらを一緒に聞くことになった。


「やあ、僕は王国騎士団団長マーシャル・フォード。気兼ねなくマーシャルと呼んでくれ」

「ど、どうも、イツキ アイザワです…冒険者やってます…」

「ソフィア・レンジリーです」

「ナタリア・ササールです」

「レンジリー…なるほど」

「何か言いました?」

「いや、何も」


何だこの爽やかイケメンは笑顔までキラキラしてやがる……無理無理住む世界が違うって!こんなキラキラオーラ浴びてたら蒸発しちゃう!


「な、なんで俺らを呼んだんですか?」

「僕たち王国騎士団は今とある事を調査していてね。その調査が君たちと関係があるようでね」

「俺たちと関係が?」

「お前らゴーレムと戦ってその出処の調査をしているだろ?王国の方にもゴーレムが出たらしくてな。今回のゴーレムと関係があるのでは…とお前らを呼んだ」


うわーなんだその面倒くさそうなことは…ゴーレム調査なんて引き受けるんじゃなかった…


「そこで、イツキくん。僕たち王国騎士団に代わってこの件の犯人の証拠を集めてくれないか?」

「証拠って言っても今俺ら調査に行き詰まってて…」

「それなら大丈夫だ。大まかな犯人の目星は付いている」


俺らは苦労してるってのに…王国の情報網はさすがだな


「犯人の目星が付いているなら俺らより騎士団で調査した方がいいんじゃないですか?」

「僕らもそうしたいんだけどね…犯人として浮上している男はこの街の領主マグワイア伯爵だ。王国騎士団として動いて万が一証拠が出なかった時、あらぬ疑いをかけられたと王族の名を貶めることも考えられる」

「……そこで、一冒険者である俺らなら都合がいい…と」

「察しがいいね。もちろん、君たちにも相応のリスクがある。王国から報酬は上乗せはする。どうだい?」


王国の報酬となればかなり弾むはず…しかし、何も出なかった時のリスクは大きい。どうしたものか…


「受けようよ!イツキ!王国からの報酬だよ?きっと凄い額だよ!」

「いや、そりゃあ額は凄いだろうが…貴族様なんかに目をつけられたら面倒なことに……」

「それなら心配はいらないよ。マグワイア伯爵にはそれらしい理由を付けて君らを王国騎士団からの護衛として派遣する。君らは護衛をしながら調査をして欲しい」


なるほど。それならもし疑っている事がバレたとしても王国騎士団を抜けた事にすれば問題は無い。


「分かりました。その依頼受けます」

「ありがとう、イツキくん。騎士団からもこの3人を派遣する。護衛中は好きに使ってくれて構わないよ」

「えっと…よろしくお願いします」


何故か1人酷く睨んできているけど、俺何かしたか?まぁ、マーシャルさんの部下だって言うし変な事はしないとは思うが…


「イツキさん。後でお話が…」

「ん?ああ、わかった」


依頼は明日から。俺らは家に戻り明日の準備をする事にした。


「どうしたんだ?話ってなんだ?」

「はい…私は公爵家の娘です」

「え、ええー!?公爵家!?公爵家って王族の次に偉い貴族じゃ…」

「今回、調査するマグワイア伯爵に私は昔から求婚を迫られていまして…」

「求婚…って結婚するのか?」

「し、しません!マグワイア伯爵が真に欲しいのは私ではなく公爵家の地位、権力。私は何度もお断りしました。しかし、それで諦める人ではありません。ゴーレムがマグワイア伯爵の仕業であればそれは私を狙って……」


なるほど…どうやったのかは分からないが、ソフィーが冒険者をしている事を突き止めた、マグワイア伯爵は無理やりにでも婚姻をするためにゴーレムを寄越したという訳か。


「王国にゴーレムが出たのはなんでだ?」

「それは恐らく私の父をねらったのではないかと」


なるほど…それが本当だとして、その伯爵は相当に頭が悪いのか?王国にゴーレムなんか差し向けたら反逆罪として捕まるだろ。まぁ、騎士団もそれを狙って調査させるんだろうが。

俺としても、そんな理由でソフィーを狙うやつを許す訳にはいかない。


「今回の依頼ソフィーはやめておくか?」

「いえ、今回は本を正せば私の問題。私も行きます!」


かなりの時間が経ったようで、ナタリーが俺たちを探しに来た。


「あ、いたいたー2人とも。何してるのさー、こんな所で」

「あ、いや明日の事を話してたんだよ」

「僕を入れないで2人で話してたの?僕も仲間なのに…」


ナタリーは頬膨らませながら話した。

俺は明日からの作戦を話した。俺がマグワイア伯爵の傍で警護のフリをしつつ屋敷を探ること。ソフィーとナタリーは屋敷の外で怪しいやつの出入りがないか探ること。

ソフィーとナタリーを外に配置することに関しては、俺がマグワイア伯爵なんかに近づけたくないからだが。

明日からの警護なるべく早く証拠を見つけないとな…ソフィーの為にも。

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