第4話 異世界の叡智?

「いやぁ〜自分の拠点を持ってるっていいねソフィー」

「そうだね。こんなに綺麗で広いお風呂にも入れるし、幸せだね」


拠点を購入?して1日経った。今日はギルドから先日のゴーレムの件についての呼び出しがありその為の準備をしていた。ソフィーとナタリーは広いお風呂が気に入ったのか昨晩入ったばかりなのに今朝もお風呂に入っている。

この拠点は広く内装も綺麗。おまけに広い庭まであり気に入っている。ただ、唯一不満な事と言えば、トイレにウォシュレットがない事だ。

転生して最初は慣れない環境という事もあり気にしていなかったが、徐々に環境に慣れていくにつれウォシュレットが恋しくなってきた。

どうにかならないか今度おじさんに聞いてみよう。


「イツキさんお待たせしました」

「イツキお待たせー」

「よし、ギルドに行くか!」


ギルドに行くと俺らはギルドマスターの部屋に通された。


「し、失礼します」

「君がイツキ アイザワか。ゴーレムを素手で倒したそうだな。俺はギルドマスターのフレッドだ」


握手を求め差し伸べた手を取り力強く握るとフレッドはニヤリと笑った。


「なるほど…素手で倒せるわけだ」

「え?」

「この手かなり鍛えているな?」

「まぁそれなりに」

「まぁ、座ってくれ」


高そうなソファに座るとギルドマスターは話を始めた。


「まず、これがゴーレムとコボルトの報酬だ。銀貨20枚に銅貨5枚だ」

「こ、こんなに?ありがとうございます!」


ゴーレムって思ったより報酬が良いんだな。あの程度の魔物を倒すだけで銀貨10枚も貰えるなんて。


「いやぁ、大変だったよ…急にゴーレムが出てくるんだもんね〜」

「そうですね。ゴーレムがいきなり現れた時はどうなるかと思いました」

「ハッハッハ!そりゃあゴーレムがいきなり出りゃ驚くわな。にしても、ソフィー・ナタリーよく無事だったな」

「まぁ僕たちはほとんど何もしてないんだけど」

「そうですね、一瞬足止めした程度で後はイツキさんがやってくれましたので」


何を言ってるんだろう…ナタリーの弓は相性が悪いかもしれないけど、ソフィーの魔法なら倒せそうなものだが…


「さて、今日呼んだのは報酬だけじゃない。イツキ、お前が倒したゴーレムだがな自然発生した魔物じゃない」

「自然発生じゃない?」

「つまり、誰かが召喚したゴーレムだった。という訳ですか?」

「そうだ。そして、お前らはゴーレムを倒したパーティーだ。それを見込んでお前らに特別クエストを頼みたい」

「「「特別クエスト?」」」


特別クエスト。特別クエストとはギルドマスターや貴族、王族に直接依頼されるクエストをそう呼ぶ。


「お前らへの特別クエストは、このゴーレムの出処を調査することだ。報酬は金貨10枚!どうだ?受けるか?」

「金貨10!?イツキ!受けようよ!調査するだけで金貨10枚だよ!やるべきだよ!」

「んー…でも、調査するだけで金貨10枚って逆にそれだけ危険って可能性はないのか…?」

「確かに、その可能性もあります。でも、調査で終わるのならそこまで危険はないかと…」

「2人がそこまで言うなら受けるか!」

「よし!そうと決まればイツキ!お前にはこれをやろう」


ギルドマスターは冒険者カードを差し出した。

冒険者カードにはシルバーランクと記されていた。


「え、シルバーランク?俺、ゴブリンとかコボルト討伐の依頼しかしてませんよ?」

「あーそれじゃねえ、ゴーレム討伐の功績でシルバーランクに昇格だ」

「ゴーレム1匹倒しただけで…?」

「ハッハッハ!やっぱり分かってなかったか。ゴーレムは本来ゴールドランク冒険者のパーティーでようやく倒せるんだ。それをお前はソフィーとナタリーの手助けがあったとは言え、実質1人でそれも素手で倒しちまったんだ。本当なら文句無しのゴールドランクだ。だが、いきなりゴールドにあげることは出来ねぇからなとりあえずのシルバーランクだ」


よく分からない…あのゴーレムが本来はゴールドランクで倒せる魔物なのか?それほど強い魔物には思えなかったが…もしかして俺まずいことしたのか?


「まぁ、ゴーレム素手で倒せる人間なんてそうそう居ないからねぇ〜妥当な評価だよ」

「さすがですイツキさん!」

「あ、ハハハ…あ、ありがとう…」

「それじゃあ、調査頼んだ。なるべく早くしてくれるとありがたい」

「分かりました!それじゃあ、失礼します」


俺らはギルドマスターの部屋を出た。まずは手がかりが必要だから聞き込みからだな。

だけど、今日はもっと大切な用事がある!そっちが優先だ。調査は明日以降すればいい。


一方、ギルドマスターの部屋では…


「ふぅ…」

「ギルドマスター良かったのですか?イツキさんに任せても」

「あれはバケモンだ…底が見えねぇ。あいつに任せてれば大丈夫だ」

「バケモノ…元ゴールドランク冒険者で剛剣と恐れられたギルドマスターがそこまで言うなんて…」

「ハッ…俺なんてあいつの足元にも及ばねぇよ。全くあんなバケモノ今までどこに隠れてたのか」


イツキ達はノーランの店を訪ねていた。


「おや、イツキくん。拠点見つかったそうだね。力になれて良かったよ。ところで、今日はどうしたんだい?」

「今日は相談があって来たんですけど今いいですか?」

「もちろん!イツキくんならいつでも構わないよ。それで?相談ってなんだい?」

「えっと…こういうのって作ることが出来ますか?」


俺はおじさんに簡単な絵を書いて伝えた。


「イツキ、これはなに?」

「これはウォシュレットって言って、トイレをした後にお尻を綺麗にする機能だよ」

「ふむ…うぉしゅれっと?こんなのが欲しいのかい?このくらいなら、付与魔法ですぐに作れると思うから少し待ってておくれ」


この世界に溢れる魔道具と呼ばれるものは全て魔法が付与されており、付与された魔法によって効果が現れるようだ。


「イツキくん、作ってみたがこれで問題ないか使って見てくれ」

「分かりました!」

「なんですか?それ。これはウォシュレットって言う機能が付いたトイレだよ」

「なんだい?そのうぉしゅれっとってのは」

「ウォシュレットってのはトイレをした後にお尻を綺麗にする機能だよ。まぁ、言っても良さは伝わらないと思うから2人とも1度使ってみて」


ソフィーとナタリーは早速ウォシュレットを試したようだ。もの凄く目を輝かせて戻ってきた。ノーランさんが引くほどに…


「ノーランさん!これ凄いよ!」

「ノーランさん!これ後3つ作ってください!私たちの拠点に2つ、実家に1つ送りたいです!」

「あ、ソフィーずるい!僕も実家に送りたい!」

「は、はぁ…すぐに作るから待ってておくれ」


おじさんはまだどんなに素晴らしい物なのか分かっていないようだ。ここは、おじさんにも体験してもらって素晴らしさを理解してもらおう。


「おじさん。おじさんも試して来てみたら?そしたら2人の興奮が伝わるはずだよ」

「う、うむ…イツキくんが言うなら…」


そう言うとおじさんは渋々トイレへと行き、ものすごい勢いで戻ってきた。


「イツキくん!!なんだねあれは!!もの凄いじゃないか!!あれを是非うちの商品として販売させてくれ!!あれは売れるぞ!」

「は、はぁ…売るのは全然いいけど…」

「もちろん!この仕組みはイツキくんの物だ。王国の権利協会に申請して特許を取る!他の商会に真似させないようにする。取り分もこちらが3割、イツキくんは7割でどうだい?」

「お、落ち着いて!それでいいから!」

「そうと決まれば、こうしちゃおれん!急いでこの仕組みの特許を取るんだ!イツキくんの名義で!そして、これを量産するんだ!これはうぉしゅれっとの時代が来るぞー!!」


どうやらこの世界の人にもウォシュレットは画期的な物のようで、トントン拍子で商品化することになった。しかも、その売上の7割が俺の元に来るという。これは思ったより早く家のローンが返せそうだ!

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