〇〇を探しています。
カクヨムでホラー小説を読むのが日課だ。長いのから短いのまで揃っているし、作者の試行があって面白い作品が多い。
最近は『○○を探しています』という系統のものにハマっている。その中でも『捜索人』というペンネームの人の作品が一番好きだ。
捜索人さんはホラーというかクイズに近い書き方をしている。
例えばこんな風。
『探しています。
身長 :240センチ
体重 :不明
服装 :白いワンピース、白い帽子
特徴 :「ぽぽぽ」という。声色を自由に変えられる
その他 :成人前の若い男性の前によく現れます
見つけましたらご連絡ください』
一番下までスクロールすると答えが出てくる。
答えは尺八様だ。
こういった感じで世に出ている怪異についてクイズ形式で出題している。どうしてジャンルをホラーにしているかはわからない。怪異当てクイズだからだろうか。
しばらくすると近況ノートには『見つけた』という報告が入る。報告内容を読むに、捜索人さんは怪異を見つけると籠に入れて二度と出て来られないように暗い場所に閉じ込めているらしい。そういう細部にこだわった演出がさらに面白くさせている。
その日も俺は捜索人さんの小説が早く更新されないかと楽しみに待っていた。
風呂を終えたばかりで髪が濡れているが気にしない。青いストライプ柄のパジャマを着てベッドに寝そべり、他のホラー作品を読みながら待っていた。
スマホに通知が入る。捜索人さんが投稿したようだ。俺はすぐに捜索人さんのページへと飛んだ。
『探しています。
身長 :167センチ
体重 :52キログラム
服装 :青いストライプ柄のパジャマ
特徴 :カクヨムのホラー小説を読むのが日課
その他 :私立山ヶ丘学院に通っている。
見つけましたらご連絡ください』
私立山ヶ丘学院は俺の通っている学校だった。それに、俺は今、青いストライプ柄のパジャマを着ている――。
「俺?」
乾いた笑いが出る。
まさか、なんて思いながらスクロールする。
俺の名前が書かれていた。
同じ学校に通っている奴が俺を怖がらせようとイタズラした? と頭に浮かぶ。
だが、俺が捜索人さんの小説を読んでいる事は誰にも言っていない。知っている訳がない。
「誰だよ」
乾いた声が出る。
コンコン――
窓がノックされた。振り返るもカーテンが引かれているから外は見えない。だが、開けてまで確認しようとは思わなかった。
ここは二階だ。一体誰が来たというのか。
窓の向こうには怪異がいる気がして身体が震える。
足元の布団を手繰り寄せ、頭からすっぽりとかぶる。
見間違いかもしれないと捜索人さんの小説を見返した。
やはりそこには俺の名前があった。
ふと、スクロールが終わっていない事に気付く。
俺は指で画面をスクロールしていった。
『見つけた』
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