第10話その結果は?
次の日の学校。
朝早くから起きて昨日レオさんに教わったメイクを頑張った。
いい結果出してイヴ君にも伝えたいし。
でも。
でもでも。
「緊張して扉開けられないぃぃ…」
いつもと全然違う雰囲気だから気合い入れすぎって笑われたりしないかな?
元彼に言われたからかとか笑われたりしないかな?
どうしよう…扉開けられない…
元「でさぁ、すげぇ面白いんだぜ!泣きそーな顔で悪いとこ直すってよ!」
元友「すげぇーウケる!そんで美人未来ちゃんと比べて振ったんだろ?あの地味顔じゃどうしようもできねぇって分かってんのに!」
「…」
あ、心折れた。ポキッて聞こえた。
もう帰ろうかな…
ー下向くからナメられんだ。真っ直ぐ前見て胸張れ。ー
「あ…」
そうだった、イヴ君に結果教えろって言われてたっけ。
ここで逃げ帰っちゃダメだよね。
だってこんなにも色々な人に協力して貰ったんだから。
大丈夫。きっと大丈夫。
「ーっよし。」
ーガラガラ!
「お…おはよう」
―――
―
◇
「…」
レ「杏ちゃん、心配?」
「ふん。逃げ帰ってないかだけだな。」
レ「すごく内気で気弱いものねぇ。どっかの坊ちゃんと正反対。」
「るせ。」
そろそろあいつの学校も終わって帰ってくる頃だろ。
こっちの時間で今は朝の8:00…
昨日より少し遅くねぇか?
レ「あの坊ちゃんがこんな早起きするんだもの。よほど気になるのねぇ。」
「ふん。遅せぇから様子見に行くか。」
レ「あらん?珍しい。」
「逃げ帰ってたら殺す。」
イスから立ち上がって鏡の前に立ってみたが。なんだいるじゃねぇかあの女。
なんだ?目元真っ赤にして。
まさか本当に逃げ帰ってきたんじゃねぇだろうな?
レ「行かないのん?」
「あの女が立ってる。なんで来ねぇんだ?」
レ「んん〜?うーん、やっぱり私には見えない。美しい私が映ってるだけだわ?」
「眼科行ってこい。《ドン!!》うお!?」
「〜〜っっ。イヴ君…」
バカがアホな事言ってるから蔑んでたってのにこの女、鏡からいきなり飛びついて来やがった。
死にてぇなら言えってんだ。馴れ馴れしく抱きつきやがって。
レ「んま!杏じゃなぁ〜い!学校は?どうだったの?」
「ポロ…ぐす…」
レ「その反応…まさか?」
「…。さっさと言えノロマ。失敗したとか言う気か?」
レオがワクワクした顔で聞けば服を強く掴んで泣き出しやがった。
あぁ、こりゃぁダメだったんだろうぜ。
そんな簡単にはいかねぇか。
「ううん…大成功…でした」
レ「んまぁぁ!!ってじゃぁなんで泣いてるのよん!!ダメだったと思ったじゃない!」
「う、嬉しくて…」
「はぁぁ?」
「怖かったんです…クラスで笑われてて心ポキってなって。逃げ帰ろうって思って…」
「イラッ」
「でも。イヴ君が胸張れって言ってくれてたから。」
「は?」
昨日のアレの事か?
あまりにも下向いてやがるからムカついて言ったあの言葉。
アレがなんだってんだよ。
「ありがとう、イヴ君。私ね、今日胸張って教室入ったの。そうしたらね皆驚いてくれた。」
「ーっ。」
「私っ。頑張ってよかった…元彼もすごく驚いてた。皆褒めてくれたよ」
「そ…うかよ…。」
「ありがとうイヴ君!!」
「うるせぇな分かったから離れろよ。汚ぇ顔で抱きつきやがって。」
「グサッ」
そんな目ぇ腫らして泣いて喜ぶような事言ってねぇだろうが。お人好しの能天気め。
レ「素直じゃないわねぇ。」
「違う涙出てきた。」
「ふん。礼を言うなら昨日の団子よこせ。待っててやる。」
「美味しかった?」
「珍しい食べ物ってだけだ。」
レ「なにそれ!?坊ちゃんだけズルいわ!!杏、私にもよ!!」
「くすくす。分かりました、待ってて下さいね!」
すぐに表情変えやがって。コロコロ喜怒哀楽が激しい奴だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます