第3話鏡で通じる世界

「もど…れた…」


よ、よかった!!本当によかった!!私ちゃんと自分の部屋に戻れたんだ!!


あのまま変な部屋で殺されないで済んだんだ!!


「怖かった…この鏡、返品できないかな?あぁでも貰った物だからそれは気まづい…。何よりなんて説明すればいいの?知らない部屋に通じてるって?バカバカしいって笑われちゃうよ…。」


「まぁそれが普通の反応だろ。」


「きゃぁぁ!!」


「なんだ人を化け物のように。」


なんだって、え!?なんでこの人も私の部屋にいるの!?もしかしてついてきたの!?


私一人だと思ってたから考え事すごい口にしてたのに!!


ついてくるならそう言ってよ…


「ビックリしました…。まさかついてくると思わなくて。」


「ふん。面白い鏡だからな、イタリアから日本まで数秒で移れるんだ。他に使える用途がないか考えなくてはいけない。」


「は、はぁ…」


ニヤニヤ悪人みたいな顔で笑ってるけど…


使いたいならあげちゃう?私持ってるの怖いし。


ートントン


マ「杏ちゃーん?いるのー?」


「あ、ママ!」


「あぁそう言えば探していたな、お前の母親。」


「うん、ご飯呼びに来てくれてて…はっ」


「なんだ」


いつも通り開けようとしちゃったけど、今私の部屋男の子いる!!


普通の親なら”なんだこの男の子!”って怒るとこだと思うけど、ママはそんな事はないっ


きっと『やぁ〜ん!杏ちゃんの彼氏?来てるなら言ってよ〜!ご飯、追加でいぃーっぱい作るわね♪』って言ってルンルンで食べきれない量のご飯を作りだすんだっ


「か、隠れてっ」


「なぜだ?お前の母親だろう。一般人の親なんぞ」


「誤解される!!色々誤解されるっ!!」


「ちょ、おい、押すなっ」


ードン!!…トプン…


あ、しまった…勢い余って鏡の中へ押し込んじゃった…。


ーガチャ


マ「杏ちゃ〜ん?あらぁ!あらあら、ちゃんといるわぁ〜!どこに行ってたの?見当たらなかったけど〜?」


「えっと…その。お、御手洗。」


マ「あらあら!そこまで見てなかったわ!ご飯できてるわよ。さっき他の子の声もしたと思ったけど〜?」


「ぎくっ」


マ「彼氏かと思ってご飯追加でいぃーっぱい作ろうと思ったのに。幻聴かしらぁ〜?」


「あ…はは。」


ママ、私その彼氏に今日振られてきたんだよ。


でもなんだか色々起こりすぎてどうてもよくなってるかも。


とりあえずご飯食べてお風呂入ろうかな。


それでゆっくりして今後どうするか考えればいいよ。うん。



「あんっっの…クソ女」


執務をしていたら突然倒れ込んできた黒髪ロングの女。


俺がマフィアのボスの息子だから殺りに来た刺客かと殺すつもりだったが。


イタリア語は分からねぇは慌てふためく姿はどう見ても一般人だわ。


聞けば鏡を通して来ただと?


ふざけるにも程がある。嘘だと証明して即刻撃ち殺すつもりでお気に入りの姿見の鏡の前に立てば、そこにはなぜか知らない部屋が映されてやがった。


昨日までそんな事なかっただろ。


試しに女を鏡の中へ入れさせてみれば、向こうの知らねぇ部屋で動いてやがる。


害あるものではなさそうだ。


そう思って俺も鏡を通ったってのに


「あの女、すげぇ力で突き飛ばしやがって。日本人ってもっとお淑やかじゃねぇのかよ。」


母親に連れられてメシ食いに出て行きやがった。


クソ、文句も言わずに済ませられるか!!


「戻ってきたら謝らせてやる」


でなけりゃ蜂の巣だ。




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