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7月。4月から始まった研修期間も4か月目に入った。あの男性はあいかわらず週1のペースでご来店いただき私がこっそり仕入れた商品をお買い上げいただいている。だいたい1回に2枚くらいお買い上げくださるから、これまでの3カ月で私が知っている限り12回でショーツが24枚、ミナも1回販売しているから26枚はご購入されているはず。その他にキャミソールも10枚程度はお買い上げいただいている。ブラジャーには興味はないみたいである。
店舗研修の一環には商品の発注・仕入れ業務もあって、在庫を見て品薄になりそうなものを入荷までのリードタイムを考えながら適当量を発注するのだが、教育担当の先輩のチェックは入るものの、よっぽどのことがない限り研修生の発注どうり発注されるのが普通だ。1回だけミナが自分が購入するつもりで夏物のサマードレスとサブリナパンツを数枚発注しようとしてダメ出しを食らったことがあるけど。私は密かにそこであの男性が好みそうなショーツの補充をしていた。
これまでの傾向から彼の好みはだいたい分かった。スーパーローライズのスキャンティショーツ、インゴムで、身に着ける前はくしゃっと小さくて手の平にも乗ってしまうもの。素材は基本は綿だけど20%程度の化繊入りでも可。前リボン付きで、色は白か薄手のもの、柄は水玉がお好きなようだが小柄な模様であれば定番のイチゴやお花、テントウムシなどでもよい。
なんでここまで分かるのかと言うと、私の趣味と似ているからだ。要するに自分が欲しいなあって思うようなショーツを仕入れれば100%の確率であの男性は購入して下さる。この頃ではまるで私の気持ちを彼が感じ取ってくれている、そう、まるで文通しているみたいな感覚(文通なんてしたことないけど)になっている。私はそこに密かな喜びを覚えていたことは間違いない。
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