統合失調症で入院したらいろんな人に出会えた話
みな
統合失調症で入院したら病棟でいろんな人に出会えた話
私は統合失調症になった。いや、なったときには自覚はなかった。だって本当に私の悪口を言う声が聞こえてくるから。それが幻聴だなんて疑いもしなかった。
きっかけは受験勉強だった。私はその頃受験生で、勉強しているうちに勉強に集中できなくなった。その後、だんだんと頭の中に声が響くようになり、それは確かなものになっていった。
病院に行くと、即日閉鎖病棟に入院となった。私は入院なんてしたくなかったので、問診票に「私は病気ではありません」と書いて出した。
私は病室に連れて行かれるのに抵抗したので、半ば無理矢理体をつかまれて病室に連れて行かれた。
「やだ、痛い、何するの!?」
「痛いねぇ……おとなしくしようね」
抵抗する私を看護師は取り押さえた。
病室に入ると、病気ではないのに入院させられてしまった、という事実に私は声を上げて泣いた。無理矢理閉じ込められたことが本当に屈辱だった。
「みなさん、泣いてたでしょ」
看護師は私の鳴き声に気づき、病室に入ってきて背中をさすってくれた。そうすると気持ちが落ち着くような気がしたのだ。
何日かすると病室での生活には慣れた。私は他の入院患者の方と交流するようになった。
そこには色々な人がいた。いつも病室から悲鳴の聞こえる人、認知症のおばあさん、私と年が変わらないうつ病の人、やせ細った拒食症の人、いつもうーうーうなりながら歩き回っている人……。
しかし、そこの人たちはみな、それぞれの病気や人生を抱えて集まってきている人たちだった。
私は他の患者さんとトランプをして遊んでいた。
「皆さん社会人ですか?」
私はそう尋ねると、とある患者さんは
「うーん……まぁ人とだけ答えておきます」
と言った。私は不用意な質問をしたかな、と思った。
そこに、双極性障害で入院している、と言う方が
「私は神です、誇大妄想で入院したので」
と言った。今はもう妄想も出てないけどね、と笑っていたので、そこにいるみんなもつられて笑った。
私はとある進学校の高校三年生だった。受験のストレスから統合失調症を発症してしまったのだ。
私はいつしか良い大学に受からなければならない、エリートにならなければならない、そんな風に視野が狭くなっていた。
そんな折に病気の症状が出て入院となったのだ。
体調が安定してきたので、私は主治医の許可を得て、病室に勉強道具を持ち込み勉強することにした。
「がんばってね」
他の患者さんは私にそう声をかけてくれた。
私は今まで自分に無理をして走り続けていたことに気づいた。
私は親しかった年上の入院患者に、受験のストレスで病気になってしまったことを話した。
「べつにエリート校に入らなくても人生は終わらないよ」
そう言ってその患者さんは笑った。
私はずっと精神科の患者さんに偏見があった。どこか危険な人たち、という認識だったのだ。
それが、入院してみて、精神科の人たちも「普通」の人たちばかりなんだ、と思った。
時期が過ぎ退院し、私はまた学校に通い始めた。
大学受験では、ただやみくもに偏差値の高い大学を目指すのはやめ、自分がやりたい心理学の勉強ができる大学を志望校に選んだ。
私は自分の目指す心理職という仕事にも、この精神科での入院経験が生かせる、と思っている。
これからも、無理をせずに頑張ってきたいと思う。
統合失調症で入院したらいろんな人に出会えた話 みな @minachancute
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