第14話

私はソファーから立ち上がり、圭志様の側に行く。


「そんでこの後、どうする?

 龍牙の奴らは、外で待ってもらっているが・・・」


圭志様が聞く。


『龍牙の方を、部屋の中へ・・・』


「えっ・・・淋香?」


嫌に静かな声に、圭志様は違和感を感じた。


『龍牙の方を中へ・・・

 利奈さんの説明と、闇珠の事を私が説明します。


 そして・・・『その他は、俺が話をする』


その時、突如闇珠が表に現れた。


「おいっ、お前・・・そんな事して・・『大丈夫だ。

 淋香と話した上でやってる。


 ただ、二人共スタンバイ状態になったから

 ちょっとお互い影響しただけだ』


“‘圭志(様)は心配した(のでしょう)・・・

  俺(私)達がまた、暴走したのかと・・・’”





昔、淋香と闇珠は暴走した。


ある事をきっかけに

どちらが表にいるのか、分からなくなった。

そして、2人で1つの体を使おうとした。


何をしているのか、何がしたいのか・・・

そんな事も分からなくなり、思考まで干渉するようになった。


しかしそのせいで、体に負担が生じ、

機能しなくなるギリギリまで、爆発した。


心は交わり、

淋香なのか闇珠なのか、分からなくなっていった。



そしてその場の全ての敵が消えた時

2人は、同時に体を手放した。


身体は、心がなければただの入れ物・・・

心を失った身体は

その場で糸の切れた操り人形のように、崩れ落ちた・・・



その時、

その体を支えたのが、今ここにいる圭志と来人だ。

あの時を知っているからこそ、圭志は心配した。


しかし今は、あの時とは違う。


起きてしまった事に対処できず

闇雲に突っ走ってしまった、あの時とは・・・




今の2人には、共通の目的がある。

俺は龍に恩を返し、私は龍のみんなを守る。


2人の願いは・・・

龍牙に広がってしまった、闇《アン》の闇を自分が消す事。


その為の準備をこれから行う。



自分を犠牲にしても、

俺(闇珠)と私(淋)が、同一人物だと伝える。


それで龍牙のみんなが離れても、悔いはない。


離れたとしても、龍の中の闇が消えれば、それでいい・・・

そう2人で決めたのだ。

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