第15話

『圭志。


 俺自身は、どこか別の場所で・・・

 結城流也も交えて、話がしたい。

 事は、龍にも関わるからな。


 だからこの場は、淋香が収める。


 この後は、淋香の指示に従ってくれ。

 この場が収まったら、また会おう・・・』

そう言い残し俺は、強い覇気とともに消える・・・


圭志の前には、目を閉じ立ち尽くしている私の姿。

圭志様はすぐに目を開けない私を心配そうに見つめ、

私が戻ってくるのをじっと待っていた。



しばらくして

『圭志様、大丈夫ですよ』

そう言って、ゆっくりと目を開ける私。


「淋香?だよな」

『はい、淋です。どうしたのですか?

 そんなに心配なさらなくても・・・』


私がそう言うと、後ろから声がかかった。


「淋香様・・・


 あの時の怖さは、私と圭志様しか知りません。

 ですから、圭志様が心配されるのは当然です」

と間崎さんにも心配をかけてしまった。


『ご心配をおかけして、申し訳ありません。


 ですが今は、闇珠と相談の上やっている事です。

 絶対に、お二人にご迷惑をおかけしないと

 お約束いたします』


「分かった」

「かしこまりました」

圭志様も間崎さんも安心したように、ほっとした顔をする。



『圭志様。それでは始めましょう。

 外にいる龍牙の皆様を、中に入れてあげてください。


 先程も言いましたが、

 これから私の言う事は、闇珠と話し合って決定した事です。

 ですから、闇珠の決定とご理解ください』

これから始まる龍牙と闇珠の交渉に、みんな息を飲んだ。


しかし

部屋の中にいる者達に告げる淋香の目は、

とても落ち着いていた。

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