第3話
入口に向かう途中、圭志が俺にジャケットを渡してきた。
「それ、着てろ。・・・服汚れてっぞ」
そう言われた俺は、自分の服装を確認した。
確かに、汚れてる・・・
そして袖の際に、切り傷が少しある。
痛くはないが・・・
『サンキュー』
そう答えた俺はジャケットを羽織る。
「フフッ・・・あんたでも、礼・・・言うんだ」
『当たり前だろ!!
俺の元は淋香だぞ。
だからお前より、礼儀はきちんとしてるぜ』
そんなやり取りをしながら入口付近に来た。
「それはそうと闇珠。お前一体、何を話す気だ?」
入口の側で圭志が確認してくる。
『はぁ?俺はあいつらと話さねぇよ。
その前にお前、きちんと挨拶してねぇだろ?』
「あぁ、そうだな」
『それがまず最初。
その後は、利奈の事だ。
声しか聞いていないが、多分、亮・・・利奈の兄貴が来てるはずだ。
説明ぇしねぇと、まずい・・・』
山下亮。利奈の兄貴であり、山下組の若頭。
説明なしじゃ通らない相手だ。
「兄貴・・・か。
そうだな。
兄貴が来てるなら、すぐにでも説明しねぇとまずいよな。
いくら杉原がやった事でも、
闇を守る者が関わっている以上、俺達にも責任はある。
仕方ねぇな」
『後は・・・藤島組の事だ』
徹と約束した。藤島組を潰すと・・・
そのための準備も、忘れる訳にはいかない。
「はぁ?
あそこは、お前がやんじゃねぇの?
あいつとそう話してただろ?」
『圭志・・・お前、寝ぼけてんじゃねぇぞ!!
あそこは元々龍と繋がってた組だ。
結城組と面識もある。
そこに面識もねぇ上に闇を仕切ってる俺が、
勝手に行って、勝手に潰してもいいんか?』
「いや・・・そりゃあ、まずい」
『そうだろうがっ!!
結城流也に話をつけた上で、俺一人か
龍も来るかを決めてから潰すのが、筋ってもんだろうが!!』
「確かに・・・そうだな」
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