初めての対峙

第2話

「闇珠・・・どちらへ?」


ソファーから

ゆっくりと立ち上がった俺に、来人が声をかける。


『龍牙のメンバーが揃ってる。

 挨拶しに行かねぇと・・・圭志、行くぞ!!』


「闇珠。銀龍がいねぇ以上、挨拶は必要ねぇと思うが・・・」


『いや、敦也がいる。

 あいつは紫龍、狼牙のNo.2だ。

 直・・・いや黒龍の下って事は、代理だろう。


 それにあいつらは、直で繋がってるはずだ。

 話したければ借りりゃあいいだろ』


俺はそう言いながら入口に向かって歩き出す。

すると、


「待ってください。闇珠」

来人が俺を呼び止める。

『どうした?来人』

「その・・・

 あなたが行かれても、話にならないと思いますが・・・」

来人はおどおどしながら俺に進言してきた。

しかし、


『分かっている』

「へ?」

俺の答えに間の抜けた返事を返す。


『分かってると言った。


 その為に圭志を呼んだんだが、それもやばいか?

 俺はあいつらの前には出ない。

 挨拶は、圭志に任せるが・・・』


「あっ・・・いいえ、そんなっ!!

 その姿で、あいつらの前に出るかと思ったものですから・・・

 ・・・すみません。


 また、出過ぎた真似を・・・」


来人は焦ったように謝った。


『おい、来人。

 そんなにあせる必要ねぇぞ。


 ・・・ったくお前は。

 いつもは冷静なのに、何かの拍子に暴走する』


「すみません・・・」


『謝る必要はない。

 ただ、早く慣れろと言ってるだけだ。


 それが無理なら、淋香と同じ・・・もしくは弟だと思え』


「そっ、それは無理です。が、努力します・・・」


『フッ・・・まあいい。

 とりあえず今後の事で、圭志に龍牙と相談させる。


 その間ここを頼むぞ、来人』


「かしこまりました」


『ただし、利奈が目を覚ました時はすぐに呼べ。


 龍牙には報告するが、あの状態だ。

 何が起こるか分からん』


「分かりました。

 こちらは藤島もいますので、大丈夫です」


来人はそう言って、藤島徹を指差す。


『そうだな・・・じゃあ、行ってくる』


俺は来人にそう言うと、圭志とともに入口に向かった。

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