第14話

祐樹 side



昼飯の調達から帰った俺は、

交差点で見た人が気になって仕方なかった。


周りは動いているのに、

その人だけその場に隔離されたように止まって見えた人・・・


“何をしてたんだろう?”


“なぜあそこに居るんだろう?”


そんな思いが頭の中から消えることはなくずっと悩んでいた。




「あ~も~っ」


突然大声を出し、

頭をぐしゃぐしゃかき乱しまくった俺を見たみんなは


「どうしたんだ?」


「なんかあったのか?」


「さぁ別に。何もなく飯買ってきただけだよ」


「ふ~ん」


そんな会話をしてる。


そのまま時間だけが過ぎた・・・




晩飯を食った後、今日の夜の話を始める。


「今日、北の交差点で暴れようぜ。

 あそこが一番やりやすい」


「幹線だから、道広いしな」


「でもあそこパトも飛んでくるの早いぜ。

 特に篠さんが・・・」


「あの人はいい。

 俺の親父のダチでOBだ。分かってくれてる」



流さんの親父さんは、結城組組長で俺たち龍牙のOB。


その時の仲間が警察って言うのもすごいが、

OBが居るのはありがたいこと。


俺たちがこの街で好き勝手出来るのは

OBの方たちが作り上げてくれた、大切な掟と絆のおかげ。


その絆が今もこの地域に残っている為、

俺達は暴走する事が出来る。


そしてその見返りに治安を守る。


だからその絆を俺たちがヘマをして、

終わらせるわけにはいかない。



俺はあの人の事は相変わらず気になったが、

ひとまず置いといて、暴走の打ち合わせに参加していた。

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