第12話

しばらくそうしていると、

知っているバイクの音が聞こえてきた。


“これは昼に聞いた・・・あの、白いバイクの音?”



私の耳は普通の人より多くの音を拾う。


2km以上離れた場所の音も、大きい音ならば聞こえる。



今、聞こえてきた音は間違いなくあのバイクの音。

それと一緒に、20台ぐらいの音が聞こえてきた。


そんなことを考えていると、音は次第に爆音となり

そのうえパトカーらしき音もして

イベントが始まる前の興奮が交差点に充満し始めていた。




私は立ち上がり交差点を見る・・・



田舎じゃこんな事、絶対にないから、

何が始まるのかわくわくしながら待っていた。



すると北の入り口から2つのライトが見えてきた。


2台の真っ白で大きなあのバイクだった。


その2台のバイクは大きな旗を広げながら、

まったく同じ動きで交差点に入ると、円を描き始める。


そこに15台ほどのバイクが参加し、

ブレーキランプの残光がつながって

きれいな円を作り出す



そして、いつの間にかその円の中にバイクが・・・



黒を中心に青・赤・黄・緑・紫・銀 7台のバイク


その車体にお互いのライトを当てて浮かび上がらせる。


それは私が知っている玉のよう・・・



『綺麗・・・』




そう口にいた瞬間、聞こえる車の音。


“この音・・・普通の車じゃない?

 普通じゃない車って何?

 パトカー?”


そう思いついた時、交差点はイベント真っ最中。


私はつい


『パトが来る!』


そう叫んでいた。

でも、叫んでも誰にも聞こえない。


そう思った時、

1台の白いバイクが円を抜け出し、私の前に止まった。


「『え゛ぇっ』」


私も、私の周りにいる人達もびっくり!?

すると、その人はメットをとり


「パトの音聞こえる?」


と、にこっと微笑みながら聞いてきた。

そして、

バイクを降りてくる男性に必死にうなずく私。


「本当に?」


彼がそう確認した次の瞬間


『来た!!』


という私の声とかぶって、パトの音と

スピーカーから発せられる警察の人の声が響いた。


「こらー!おめーら~っ

 まった、こんな事おっぱじめやがって~~」

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